3月14日に多摩市民館で舞台公演を行う「劇団辻シアター」を主宰する 辻 三太郎さん(本名 辻 茂さん) 稲城市在住 喜劇役者 77歳
また見たいと思える芝居を
○…劇団辻シアターを1982年に登戸で立ち上げた。現在は稲城市に拠点を移したが、多摩市民館での公演は恒例となっている。来月14日に自身のオリジナル作『紙芝居一家の物語』を無料で上演する。紙芝居に命を懸ける父とその父に反抗してテレビスターになろうとする一人娘を中心とした、涙あり笑いありの人情喜劇。「人生や夫婦、親子がテーマ。一人でも多くの人に見てもらいたい」
○…「地元の人たちと作品づくりをして、地域を盛り上げたい」と、経験不問で一般市民から役者やスタッフを募集した。今回公募で集まった役者は8人。区内在住の女性や祖父母に出演を勧められた青年など、様々な人が集まった。素人でも演じられるようにと、本人と直接会った後、ぴったりの役を当て書きし、脚本を仕上げた。「人生の糧となるような、また見たいと思える芝居を皆でつくることが一番大切だと思う」
○…演劇を志したきっかけは、高校の学園祭で見た演劇部の舞台。生徒700人を一瞬で笑わせたことに感激し、即入部した。演技だけでなく、脚本や演出も自身で手掛けるように。卒業後も芝居を続け、22歳で落語家の柳家金語楼さんに弟子入り。ラジオDJやドラマ俳優、声優としてCMや子ども番組など活躍の場を広げていった。「お涙ちょうだいの話で泣かせるのは簡単。人を笑顔にするのは難しいからこそ、舞台で笑いが起こると感動する。こんなに嬉しいことはない」
○…多忙を極めた芸能生活を改め、亡くなった師匠の「役者は金を目的にしてはダメ。芸はお客さんに還元していくもの」という意志を継ごうと、劇団辻シアターを立ち上げた。それ以来「四六時中、芝居のことを考えている」。人間の表裏をどう描くかがテーマとなることが多く、人間観察も日課だ。「憎しみや妬みにとらわれていると、いい芸はできない。心が純粋でいられるよう、素直でいることを心掛けている」
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11月22日