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「管理あいまい」事態深刻化 バーベキューのゴミ問題

社会

公開:2015年7月17日

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山積みになったゴミの向こうでバーベキューに興じる人で賑わう登戸の多摩川河川敷(7月12日撮影)
山積みになったゴミの向こうでバーベキューに興じる人で賑わう登戸の多摩川河川敷(7月12日撮影)

 多摩川河川敷のゴミの不法投棄問題が顕在化している。登戸駅近くの河川敷は休日ともなれば、バーベキューに興じる団体客で賑わう光景が広がり、一部のマナーの悪い利用者によって山積みとなったゴミが残される。市は市管理地でのバーベキュー禁止を訴えるものの、登戸周辺は国や市、民間の土地所有が入り組むため、「管理のあいまいさ」が事態を深刻化させている。

 整然と並んだテントの下で大型グリルを使って食材を焼いて飲酒を楽しむ若者、アウトドア用品を揃えて焼肉を味わう家族連れ―。梅雨の晴れ間となった先週末、登戸駅近くの多摩川河川敷はバーベキューを楽しむ人で溢れかえっていた。

 サイクリングロード沿いはゴミ置き場が設置されていないにもかかわらず、ゴミが山積みにされた状態。空き缶やペットボトル、食材の包装パックが目立つ。

二子に広場管理地は禁止

 多摩川河川敷のバーベキューを巡っては、川崎市が2011年、ゴミの不法投棄や迷惑行為に対応するため、高津区の二子橋近くに専用の「多摩川緑地バーベキュー広場」を開設。利用者から使用料を徴収し、運営や警備、ゴミ処理に充てる仕組みを導入した。

 開設に伴い、市は「多摩川河川敷のうち、川崎市が管理している多摩川緑地については、川崎市都市公園条例で火気の使用は禁止し、バーベキューや花火はできない」と改めて条例の理解を市民に求めてきた。

管理外で駅近人気スポット

 ゴミの不法投棄が問題となっている登戸の河川敷は市の管理地のほか、国有地や民有地が入り組む。こうした土地所有の実態を利用して、市の管理地以外でバーベキューの道具や食材を提供する民間業者も多い。インターネットで検索するだけでも多摩川河川敷でバーベキューのサービスを提供する業者が数多くある。

 特に登戸地区は駅からも近く、人気スポットとなっているという。近隣には商店も多く、現地で食材を調達できるため、ゴミが増える要因にもなっている。

 また、対岸の狛江市が12年4月に河川敷でバーベキューや花火を禁止する条例を施行したことで、バーベキューをする人が登戸地区に集中するようになった背景もある。

地元住民「ゴミ箱設置を」

 登戸地区の町会役員のある男性は「ゴミ問題で困っている。最近は住宅地にも捨てられることが多い」と嘆く。「行政と連携して対策していきたいが、(マナーの悪い人に)ゴミを持って帰れと言うのは無理な話。バーベキューを禁止しろとは言わないが、河川敷にゴミ箱を設置してほしい」と訴える。

 住宅地内でゴミが見つかった場合、市の生活環境事業所に連絡して処理を求めてきたという。

民間業者「仕組み考えて」

 市管理地外でサービスを提供しているという業者は「自分たちが行うバーベキューは全てゴミを持ち帰り、そのほかのゴミも片付けている。ゴミを投棄するのは一般の人が多く、一般の人のマナーの悪さは業者にとっても迷惑」と話す。これまでの川崎市の対策について、「二子新地はルールが厳しく混んでいるためバーベキューを楽しめないという声も多い。(管理地で)禁止してよそへ行けというだけが行政の姿勢。ただ、禁止するだけでなく、バーベキューをできる仕組みを考えるべき」と主張する。

市の対策明言できす

 多摩川の施策を担当する市建設緑政局多摩川施策推進課は「登戸の場所は国有地と民有地がかさなっている場所。市として手をつけられない。国や民間に対策を要望していく」という立場を主張する。「利用者に注意を喚起してゴミ処理の面で数回支援してきた」と歯切れが悪い。

自由使用も営利に歯止め

 河川敷の国有地を管理する国土交通省京浜河川事務所の担当者は「河川は原則として自由使用であり、河川法上でバーベキューは禁止されていない」という。ただ、「河川法24条上、許可なく河川敷を占用することは禁止されている。公共の土地という観点からも営利目的の利用は好ましくない」として業者の利用に対しては歯止めをかけたい考えだ。

 同事務所では、河川敷を占用するような場所取りの禁止を求める看板を設置し、巡視員を配備して業者や利用者に理解を求めているという。河川敷の不法投棄のゴミは一定程度たまった時点で処理し、原因者の割り出しにも取り組んでいるという。

「責任のなすりつけあいだ」

 まちづくり活動などに取り組んでいる宿河原在住の男性は「夏休みになってもっとゴミが増えるのではないかと思うと心配だ。受益者負担の仕組みや焼却などゴミを回収する仕組みを早くつくるべき。土地所有を理由に行政が対策に踏み込んでいないのが問題。責任のなすりつけあいの繰り返しだ」と憤っていた。

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