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旧日本陸軍登戸研究所の実態解明に尽力し、2015年度川崎市文化賞を受賞した 渡辺 賢二さん 稲城市在住 72歳

公開:2015年10月2日

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渡辺 賢二さん

希望ある社会を考えたい

 ○…「一緒に活動した生徒や保存会の人たち、何より研究所に勤めていた人たちが勇気をもって語ってくれたおかげ。私一人の力ではない」。先月16日に発表された川崎市文化賞を受賞した。旧日本陸軍が戦前に開設した登戸研究所の実態解明に長年にわたって取り組んできたことが評価された。登戸研究所の史跡があった明治大学に働きかけ、2010年の平和教育登戸研究所資料館の開設にもつながった。「埋もれていた歴史が再び紡がれた。その意味が認められて嬉しい」

 ○…「何度も諦めかけた」と振り返る。登戸研究所はアジア太平洋戦争時に風船爆弾や細菌兵器、偽札などが作られた秘密戦の中核。戦後も長い間、その存在は極秘に扱われていたため、調査は難航を極めた。それでも調査を続けられたのは、登戸研究所に勤めていた人たちの勇気ある証言があったから。戦後も罪悪感で苦しんだ人たちに出会い、やりたくないことをやらされて人間性を失っていく話も聞いた。「科学技術が戦争に使われるとどういうことになるのかを伝えたい」という信念を貫いた。

 ○…秋田県出身。大学の恩師の「これからは歴史教育をしっかりしなくては」という言葉に感銘し、高校教師になった。法政二高で長年、教鞭をとり、「宣伝ではない、真実に基づいた歴史をどう伝えるか」をテーマに授業を展開。登戸研究所の調査は平和教育学級の一環として生徒と共に取り組んだのがきっかけ。「導かれるようにいろいろな人の話を生徒と聞いた。例のない興味深い体験だった」

 ○…人付き合いが好きというだけあって、調査の時に心がけていたのは「相手と同じ目線にたつこと。自分の意見を押し付けないこと」。今後も資料を集め、登戸研究所を戦争遺跡として国の文化財にしたいと考えている。「暗いことだけを伝えたいわけじゃない。秘密のままでは何の教訓にもならない。希望を持てる社会とは何かを考えたい」

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