介護サービス利用者の要介護度等を改善した事業所に報奨金を出し、介護給付費の増加を抑える「かわさき健幸福寿プロジェクト」で、市は要介護度の改善など1年間で一定の効果があったことを明らかにした。参加事業所を徐々に増やす一方、現場からは推進の難しさを訴える声もある。
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評価の対象は昨年7月から6月までの第1期。市内事業所の約1割に相当する246事業所、214人が参加し、要介護度が改善したのは34人、のべ79事業所。要介護度とADL(日常生活動作)の改善も合わせ、のべ87事業所が報奨金付与の対象になった。
市高齢者事業推進課は今回の結果について「介護度を改善し、希望を成就した参加者も多数いる。数字だけでは測れない効果、影響があると感じている」と手応えを示す。
市の要介護度等改善・維持促進検討委員会の一人で、市介護支援専門員連絡会会長の中馬三和子さんは、「利用者に関わる全事業所を評価することは画期的。利用者の自立支援を、改めてチームで考えるきっかけになり、意欲向上につながっている」と評価する。
趣旨浸透に課題
一方で、介護の現場からは改善、維持の「積極推進」の難しさが指摘されている。第1期プロジェクトに参加したある福祉施設のケアマネジャーは「非常にいい取り組み」としながらも、「施設によっては介護度改善で退所を検討しなくてはならない。家族が負担を不安視する声もある中、取り組みの趣旨が職員に浸透していくのか」と話す。
市は「自立支援のために質の高いサービス提供の促進を周知し、趣旨を理解してもらうために、事業所への訪問など個別説明を丁寧に行っていきたい」と話す。
現在の国の介護保険の仕組みでは、サービス利用者の要介護度が改善すると、施設側が受け取る介護給付費が減る。利用者の自立を支援して成果を上げても、報酬として評価されない点が問題視されている。
これに対し市は、利用者の要介護度が改善などされた場合、事業所にインセンティブ(成功報酬)を与える同プロジェクトを昨年7月に本格化。他の自治体と連携し、介護保険制度にサービスの質を評価する仕組みの導入を国に求めていく。
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