多摩区内の緑道やバス停のベンチなどで今月7日から14日、民族を差別する落書きが相次いで発見された。市内では6日から、高津区や中原区を中心に同様の被害が29カ所50件見つかっている(18日時点)。
市によると、6日に高津区久地の広場を清掃していたボランティアと区職員が、2基のベンチに落書きがあることを発見。7日にも近隣の公園で同様の被害が見つかり、8日までに各区職員が市所有の公園を調査したところ、ベンチや橋の欄干などに被害を確認した。
多摩区では7日、ばら苑アクセスロードのベンチ3基に落書きがあると市民から区道路公園センターに連絡があった。職員が確認すると、隣接する五ヶ村堀緑地のベンチ2基にも落書きを発見。8日の区の調査では、二ヶ領用水の出会い橋に被害を確認し、13日までに全てを消去した。
さらに14日、府中街道沿いの下綱バス停(宿河原)と長芝橋バス停(長尾)のベンチに落書きがあることを通勤中の市職員が発見。18日には、中原区のベンチで新たな落書きが見つかっている。
発見された落書きは「朝鮮人こそ反日ヘイト」「朝鮮人こそレイシスト」などと書かれており、筆跡は似ているものが多いという。市は今回の件を人権侵害事案として法務局に連絡。市が所有する箇所については、各区から警察署に被害届を提出している。
ばら苑アクセスロードの手入れを行っている「ボランティアの会」のメンバーで、落書きを発見した女性は「週に5日は手入れしている。汚されたりイタズラされたりして、いい気分はしない」と悲憤する。同会の三竹文三会長は「高齢者に人気の場所。今までこんなことはなかった」と話す。
福田紀彦市長は14日、一連の被害について「大変強い憤りを感じている。被害の撲滅に向けて、市内でパトロールを強化し、警察とも連携しながら取り組みを進めていきたい」とコメントした。
在日コリアンをはじめ、外国人市民へのヘイトスピーチ(憎悪と差別の扇動表現)をめぐっては、今月3日に川崎区で予定されていた講演会がヘイトスピーチに反対する市民ら約500人の抗議によって中止になった経緯がある。抗議した市民団体のメンバーの1人は「腹いせに憂さ晴らしで落書きをしたのではないか。市が『許さない』とはっきり言わないといけない」との見解を示している。
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