手足の壊死が急激に進行する「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の川崎市内患者報告数が昨年、過去10年間で最多の19件だった。さらに今月は、12日までに2件の報告。死に至ることもあり「人食いバクテリア」と恐れられる細菌感染症に対し、市は注意を呼びかける。
2年前から倍増
市内で報告された劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、過去10年で2017年の10件が最多だったが、昨年は倍増。区別では川崎区と宮前区がそれぞれ6件と多く、多摩区はゼロだった。
2016年から今月12日までの市内報告数は合計45件。男性がおよそ4分の3を占めるほか、30代以上が多く、70代以上が半数を超えている。
市健康安全研究所の担当者は「例年は年間でも数件にとどまっているが、年明けの1週間で2件という報告数は多い」と指摘。「これまで冬季に多いとされてきたが、昨年は通年で発生した」との傾向を示す。
急激に劇症化も
咽頭炎や発熱、手足の痛みなどが一般的な初期症状で、「A群溶血性レンサ球菌」が主な原因菌とされる劇症型溶血性レンサ球菌感染症。進行の速さが特徴で、細菌が小さな傷口などから体に入ると急激に増殖し、多臓器不全やショック状態から死に至ることもあるという。
この原因菌は、通称「溶連菌感染症」として知られる「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」も同様。特別な細菌ではなく通常は抗菌薬で治療できるが、劇症化する理由は明らかになっていない。同所担当者は「人によっては風邪のようなよくある症状から、数時間後に劇症化を引き起こす場合もある。皮膚の小さな傷口が腫れて痛むなど違和感を自覚したら、すぐに医療機関を受診し、症状を正しく申告してほしい」と注意を促す。
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