東日本台風で浸水被害を受けた川崎市市民ミュージアム(中原区)の将来像について、外部の有識者らが移転も視野に入れた検討を始めた。地盤が低く浸水しやすい立地に加え、現行施設の強度では地下にある収蔵庫を最上階の3階へ移すことが難しいため。今後議論を重ね、来年8月には方針案に対する意見公募を行う予定だ。
移転案については、7月28日に初めて開かれた有識者会議「市民ミュージアムあり方検討部会」で言及された。同会には大学教授ら7人が参加。復旧と復興を目指し、建築設備をはじめ、今後の同館の役割や企画運営の方向性などを議論する。初会合では台風被害状況や過去の活動について報告。出席者から「今の場所に残すのか、移転するのか議論が必要だ」などの意見があがった。
同会は今後行われる6回の会合で、将来に向けた総合的な再整備について方針案をまとめ、川崎市長に提出する。来年8月に素案を公表し、意見公募を経て10月には方針を確定させる見通しだ。市担当者は「方針を決めた後は具体的な計画案を立ててから着工するのが一般的だが、10月以降の予定は現時点では決まっていない」と話す。
同館の立地は、2018年の洪水ハザードマップの改定で、多摩川が氾濫した場合の想定浸水深が3〜5mから5〜10mに引き上げられた。この深さは、現行施設の2階まで浸水すると予想される。収蔵庫は3階へ移動させる必要があるが、建物の構造上、収蔵品の重さに耐える力が不足しており、現行施設のままでは最上階には設置できない。学芸員の佐藤美子副館長は、「建て替えにより建築強度を上げ、最上階に収蔵庫をつくったとしても、日常的な搬出入を考えると現実的ではない」と指摘する。
被災した収蔵品約23万点は6月に搬出を終え、外部倉庫などに保管。先月11日には、東日本台風と同規模の台風を想定した実地訓練を行うなど、対策を講じている。
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