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意見広告・議会報告

市政報告 ワクチン接種追加前提で、コロナ禍の予算会議が始まる 川崎市議会議員 上原まさひろ

公開:2021年2月26日

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ワクチン接種追加前提で、コロナ禍の予算会議が始まる

 2月中旬より、川崎市議会では、令和3年第1回定例会が開会されている。これは通例、予算議会と呼ばれるもので、4月から始まる令和3年度の予算について議論をするもの。

 足元のコロナ禍の影響もあり、市税収入は前年度比5%減を見込む中、加えて、病院などを管轄する健康福祉費、市内企業支援などの経済労働費などを積み増しした。大規模投資的事業、つまり市内インフラ投資の先送りなどを行い、短期的なキャッシュアウトを回避する方針と読み取れるがそれでも補えず、減債基金からの繰り入れと、市債での調達でしのぐ予算である。

 この予算は、ワクチン接種体制の構築に対する費用やその財源なども未計上であり、これから追加的に議論されていく。いうまでもなく、地方自治体にとって、令和3年度はワクチン接種体制の構築と実施が、最上位課題の一つといえ、国との連携が最も重要な局面を迎える。また前年度比3・6%増と提示された予算規模はさらに膨らむ見通しである。

■投資の先送りは、果たして意味があるのか

 指摘すべき点は多い。そもそも歳入見通しそのものの妥当性への疑義もある。これからさらに費用を積むことは明白であるなか、南武線立体交差事業など、重要なインフラ投資は先送りしているが、景気回復期に増大するリスクの高い総工費への影響、また長期的な歳入や、金利の見通し・資金調達に対する市の考え方など、不透明な部分が多い。先送りして、得られるはずの便益も繰り延べることで、喪失する機会は本当にないのか。むしろ事業を推し進めたほうが、トータルではプラスにならないのか。単式簿記の自治体会計では、借入金も収入として扱い、返済も支出として扱うがのごとく、歳入歳出を認識する。根拠となる予算も、当然、単年度キャッシュフローベースでしか語れない上、市としての行動論理もこの考え方をもととしている。行政の考えとすり合わせるため、ここは丁寧に考えを説明し、議論していきたい。

■市民・企業・自治会への支援の物足りなさ

 またこの予算案には含まれず、議会開会後にはじもと応援券の追加が発表された。「川崎じもと応援券」第2弾だが、これもまた追加議案となる。予算規模としては50億円に10億円のプレミアムを付ける提案がされたが、この規模感で市内需要喚起は十分なのか、また私も属する総務委員会でさんざん議論されてきたが、券面は1000円でなく500円をもととしたほうが使いやすいのではないか、いやそもそも電子化できないのか、商店街を発行主体として補助金を出す方法もあるのではないか、といった点も議論を要すると考える。事実、同様のプレミアム商品券事業で、他の自治体では、電子化されたものもある。

 企業支援に関しては、増額された内容は、借入に関わる支援に終始しており、市内経済復興に向けた具体的な支援策やアイデアに欠けるものだが、積極的に提案していきたい。

 コロナ禍だからこそ大事にしたい地域のつながり、この核となる町内会・自治会等については6月までに支援方法を明らかにすると施政方針にはあるが、本予算案には含まれていない。市政だよりが、町内会・自治会等による配布を必須とせず、地域によってはポスティング事業者による配布が選択できるようになる。選択肢が増えること自体は歓迎したいが、大きな収入源となる配布協力金が減り、困る町内会・自治会等もあるだろう。支援の在り方について、当事者意識をもって追及していく。

■忘れてはならない防災とタイムラインの例示

 2月12日には、内水ハザードマップが公表された。コロナ禍にあって、避難所の運営と同様、いつ起きてもおかしくない災害に備える必要がある。令和元年東日本台風の反省から、堤防の決壊などの外水による水害だけでなく、水路・排水路などから伏流する内水のリスクを把握し、市民の皆様との共有が必要との観点から作成された。その他、洪水・土砂災害・津波のハザードマップも存在する。

 情報提供そのものは有意義。ただ実際問題、どこに、どのように避難をするべきなのか、地域実勢に合わせた模範となるモデルケースがあれば、市民、あるいは自主防災組織・自治会等にとっては、わかりやすく使いやすい。これまでも私が総務委員会で提唱してきた内容だ。技術的な情報提供にとどまらず、市民生活にそっと寄り添いながらも、的を射て、頼れる、危機管理の構築と推進の一助となる議論をしたい。

■犯罪被害者等支援に向けて予算計上

 今回の予算では、少額ながらも、犯罪被害者等支援に関する予算が計上されている。これまでも、平成30年第4回定例会、令和元年第4回定例会、同決算特別委員会における我が会派からの一般質問を皮切りに、令和2年度に入ってからは、他の複数会派からも、度々、その必要性を強く論じられてきた。

 予算化に向けて、市としては、神奈川県との調整、他都市の調査、事業費の設定に向けた検討が必要などとし、先送りしてきたものだが、今回予算には盛り込まれた形だ。令和2年度第6回議会(12月)では、自民党会派の質問に対し、市長から積極的な答弁があり、今回の予算化に至ったものと考えられる。

 そもそも、神奈川県は平成21年にいち早く取り組んだ。県政のフォロー範囲を補うべく、地域実勢に合わせて、おとなりの横浜では、既に令和元年度に条例化済み。警察を管轄する県では市町村との連携を前提としており、例えば横浜市では、相談に応ずるのみならず、日常生活の支援、経済的負担の軽減にまで及ぶ。川崎での条例制定についても、その必要性は疑う余地もない。

 犯罪被害にあわれて、家事や介護まで手が回らなくなる、家庭の状況の変化によっては転居や辞職を余儀なくされる、経済社会的要因により結果として、何よりも強い不安につながる、または精神疾病につながるケースもあり、被害にあわれた方に寄り添う政策が必要と考える。

 登戸の凄惨な殺傷事件からすでに2年弱が経過。特に、地元・多摩区の町内会・自治会等はじめ、多摩区内の地域の皆様は、毎月28日になると被害者を思い、また新たな被害を未然に防止すべく、自ら早朝から見守り活動をしていただいている。一刻も早く、この気持ちに沿った条例が成立するよう、全身全霊で働きかけていく。

上原まさひろ

神奈川県川崎市多摩区菅2-9-1 グランベルジェ204

TEL:044-946-6027

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