罪を犯した人の立ち直りを地域の中で支える「保護司」。現在30人の保護司が所属する多摩区保護司会(末吉一夫会長)が今月、創立10周年を迎えた。「多摩・麻生区保護司会」からの「分区」を起点に、地域に根差して連携を深めた10年。犯罪のない明るい社会へ、志を新たにする。
犯罪や非行をした人に対し、面談等を通じて社会復帰や再犯防止に努める保護司は、法務大臣から委嘱されるボランティア。市内では1950年に川崎市保護司会が誕生して以降、各地区の会が発足。82年の行政区分区後も多摩・麻生は合同の組織だったが、人口増や行政連携の観点から、2011年4月に会を「分区」することとなった。
多摩区保護司会は少年院・刑務所の視察や中学高校教諭との情報交換、多摩署との連絡会など年間を通じて活動。「社会を明るくする運動」多摩区推進委員会では区内団体と連携し、安全な地域づくりをけん引してきた。
コロナ禍の昨年度はほとんどの行事が実施できず、今月21日に縮小開催予定だった記念式典も中止に。関係者の言葉と共に活動を振り返った記念誌「10年のあゆみ」を会員に配布し、それぞれが思いをめぐらせた。副会長で多摩区更生保護女性会会長も務める太田裕子さんは「女性会では昨夏から、街中で困っている人への『声かけ運動』に取り組んでいる。犯罪が起きる前に何とかできたら」と、改めて気持ちを強くした。
後進や拠点に課題
会発足当初、多摩区内の刑法犯認知件数は年間1656件(11年)に上ったが、昨年は866件でほぼ半減。保護観察担当件数も10年前の58件から35件に減っている。
一方、全国的に保護司の担い手確保が課題で、多摩区では定員34人に対し欠員が続く。平均年齢は65歳以上。副会長の飯沼祐順さんは「保護司と聞くと身構える人もいるが、怖いことでも何でもない。対象者がどういう環境で育って、なぜ犯罪を引き起こしてしまったのか、なるべく聞いて寄り添ってきた」と話す。
活動拠点となる「更生保護サポートセンター」の設置も課題の一つ。市内では川崎区と中原区に続き、幸区にも今月開所。対象者との面談や就職支援、会員同士の情報共有の場として活用が期待される。多摩区では交通の利便性等を考慮し、開所に向けて協議。末吉会長は「10周年を機に会員とより連携を深め、課題解決に取り組んでいく」と先を見据える。
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