市民と行政が協働で子どもたちの自然体験を推進する「水辺の楽校」。多摩川水系で約20拠点ある同活動を対象に流域のつながりを深めようと、一般財団法人エコロジカル・デモクラシー財団(土肥真人代表/以下、エコデモ財団)が2年前から調査・研究を続けている。今月1日、宿河原の二ヶ領せせらぎ館で関連展示を開始。多摩川や各活動の価値共有を図る。
自然と社会を結びつけて人々の協同を促すことを目指すエコデモ財団では、東急財団の助成で多摩川流域の研究を2019年に開始。川遊びや生きもの観察など多様な活動を行う水辺の楽校にスポットを当て、上流から下流まで各地に出向き、水辺を中心にしたまちづくりや地域コミュニティへの展開を探ってきた。
コロナ禍は活動が制限される中、各拠点を現地中継するオンラインシンポジウムを開催。8団体が参加し、各地の風景や活動の現状を共有した。エコデモ財団事務局の吉田祐記さん=人物風土記で紹介=は、「水辺のネットワークをつくることも研究の目的。各拠点が近況を共有できていないという声もあったため、形にできてよかった」と振り返る。
アート作品募る
流域をつなぐ次の一歩として企画した今回の展示は、二ヶ領せせらぎ館を拠点にする「かわさき水辺の楽校」の提案で実現。「未来のカッパたちにわたすたまがわ」と銘打ち、多摩川に向けた活動や思いをアートで表現し、流域全体の将来を考えるきっかけをつくる。
展示の土台となるのは多摩川全景を描いた幅6メートルの「絵巻き」。多摩川関連の風景写真やアート作品を一般に募り、掲示を増やしていく。今後は、立体川断面模型制作(15日)や展示物の模様替え(22日)を行い、特設サイトでライブ配信も予定する。
同研究には東京工業大の学生も参加。修士2年の青木駿さん(23)は「多摩川にこれだけの景色があることを初めて知った。展示で他の人も興味を持つきっかけになれば」と話す。展示は5月30日まで。かわさき水辺の楽校の五十嵐豊さんは「新たな多摩川の価値を見いだし、生み出そうとしている。地域へ知らせる展示もすばらしい活動」と期待を寄せる。
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