多摩区をはじめ多摩川沿いの街をロケ地に、コロナ下に生きる人々を多方面から描いたHulu(フールー)制作のドラマ「息をひそめて」。国内外の映画祭で高い評価を受けてきた登戸出身の中川龍太郎監督(31)=人物風土記で紹介=が、初めて配信ドラマに挑戦した。独占公開から約1カ月。「(配信ドラマは)家で視聴でき、映画とは反応も見られ方も違う。届く層の違いを改めて感じた」。友人たちからの声を耳にし、新たな感触を覚える。
多摩川のほとりや向ヶ丘遊園駅前、二ヶ領用水など中川監督が生まれ育った多摩区の街並みが数多く登場する同作。撮影中だった昨年12月から、幼少を過ごした登戸に戻り、再び暮らしている。その故郷で特に「大きな原風景」と強調するのが多摩川だ。第1話の冒頭シーンに出演する実の祖父と、子どものころ一緒に遊んだ思い出を抱く。中川監督のこれまでの作品でも川がよく登場するのは「河原で育ったことが大きい」という。
飲食店経営や大学寮生活、ウーバーイーツ、在宅勤務中の夫婦、マッチングアプリ、部活動--。中川監督自身、経験のない異なる題材と、そこで暮らす人々が8つの物語で交錯する中、これらをつないでいるのが多摩川という場所。1話約30分、全8話にわたる物語のロケ地は多摩区や中原区、狛江市など多摩川を中心にした一帯でまとめられており、「極限までこだわった」とも。「みんな違う人生を送ってるんだけど、同じ川を見てる」。そんな軸が、作品の背景にはある。
第7話と8話は、コロナで活動が制限された高校の合唱部が描かれている。中川監督が高校時代に接点のあった県立多摩高校(宿河原)も制作に協力。部活動の現状や指導方法について情報提供した同校の合唱部顧問、福王子佑子教諭(38)は「同じ曲を同じ人が歌っても、心や環境が違うと音も変わる。感染対策でマスクや距離があり、人とつながることが難しい今、作品で歌の魅力が少しでも広まれば」と思いを語った。
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