意見広告・議会報告
議会報告 川崎市の歳入低迷への光は「有効活用」と「投資」 川崎市議会議員 上原まさひろ
金をかけなくても実現できる「市民利益」もある
本日、令和4年第2定例会が閉会する。例年2・3月の議会は、4月から新たに始まる新年度の予算を審査する予算審査特別委員会も開催され、地元の話題や社会課題のほか、とりわけ川崎市の財政や将来に目が向けられる。
特に本市財政の見方には、大きく分けて二手に分かれる。表面的には川崎市には「金がある」「金がない」という議論が大半だ。川崎市は、市長はじめ、川崎市の執行部は、財政は苦しいという認識だ。将来の長期借入金返済のための積立金「減債基金」から借り入れなければならないほど、市の財政は苦しい、というものだ。議会でも多くはこの見方をしていると思われる。一方で、議会では「金がある」との見方は、減債基金にはまだ余裕がある、借入金が返済できなくなるほどではない、との声もある。議論の土台が長期的なのか、短期的なのかによって、この見方は根本的に異なる。また実質的な収支上の赤字が拡大しても、行政会計では借入金も歳入項目に乗ってしまい、あたかも「黒字」に見えてしまう仕組み上の課題もある。
確かに、川崎市の予算規模は毎年度、過去最高となることが多く、令和4年度も約1兆5千億円を超える。その中で市税収入も、コロナ禍の影響下にあっても、3670億円の予算が議会に提出された。一方で、義務的経費(ここでは職員給与・扶助費・公債費)は4551億円にも上る。地方行政は、国や県からの支出金なども大きな収入のため、ここだけで判断をすることはできない。ただ借入金の返済を除いても、市税収入を上回る3826億円にも上る経費とのバランスで考えれば、警鐘を鳴らす議員が少なくないことがお分かりだろう。中でも市民の皆様の児童福祉・社会福祉、あるいは生活保護扶助費などの扶助費の急速な増加が近年の川崎市の特徴ともいえる。(グラフ)
よく「○○市は子どもにこれだけやってくれるのに、川崎市は、、、」とのお声もいただく。川崎市は収入の割には、本当に福祉に注力していることは確かだろう。その努力の一方で、自主財源の不足から、思うように機動的に福祉サービスが行き届かず、都市間競争には負けてしまうのは看過できない。
扶助費を単純に下げていくべきか否かについては、答えは様々ある。扶助費を下げることは、すなわち「市民サービスの低下」にもつながる。もちろん、生活保護の不正受給などは論外だが、福祉の充実は基礎自治体としての使命だと考える。
収入を上げるためには将来の税源につながる「投資」が必要、収入を上げなくとも「有効活用」すれば市民利益は上がると当選以来訴え、これを信条としている。今回の議会でも特に「有効活用」について地元の施設に触れ、3例、事業予算とその有効活用策を論じたので紹介する。
【1】見えてきた稲田水源地の取り壊し→有効活用に向けて早期検討を
使わなくなって40年、他の議員が取り上げたのも早20年前、前回私が質問したのが昨年、やっと解体工事の目処がついた。帳簿上の価格と、現在の価格は大きく乖離(かいり)。川崎市には、時価を意識して有効活用していただきたい。
【2】大丸用水のより丁寧な集中管理と不用水路の見定め
川崎市は水路が多い、多摩区は特に多い。全市域の水路の3割を多摩区が占める。なんと、長さ14キロ。維持費は、大きく増額している点はありがたいが、どう見ても管理が行き届かない部分も出てしまう。ここは水害を常に意識せねばならない地域。管理が行き届かないでは済まされない。でも予算は無限にあるわけではない。減少傾向にある農地の実勢に合わせて、より集中的に、丁寧に管理ができるよう、使用実態の調査を進めていただけるよう要望。予算を増やせ、というのは第一の仕事。また不要となれば、利用したい市民・民間が買い受けることも容易となる。WIN-WINではなかろうか。
【3】多摩川河川敷で実質事業停止した「ワイルドフラワー事業」用地の活用を
ノスタルジックなパンフレットだ。かつて市が行っていたワイルドフラワーという事業のもの。野草を育成し、野花を楽しむ、これはこれで良い事業だったが管理が難しく4年で撤退。その後、少なくとも菅河川敷は30年ほど特に使ってない。答弁内容は「草地として管理」。スポーツの場を求める声も多い地元に持って帰って納得してもらえるものではない。中山展宏国土交通副大臣にも視察いただき、調査にご協力いただいたこの案件。併せて質問した、多摩区河川敷のとある学校法人様のグラウンドも、市民利用の交渉をしっかり進めていただけるよう要望。菅少年野球場の上流部のこの土地も有効活用の道を探したい。
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12月20日