カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)が木の幹に入り込み、ナラ菌を感染させることで、樹木が枯死・枯損する伝染病「ナラ枯れ」。生田緑地では2018年度に初めて感染を確認してから増え続け、約5年間で累計約1800本(2月17日時点)が被害を受けている。現在は園内5カ所を通行止めとし、1月から3月末の間に140本の伐採を進めている。
カシナガは、コナラやクヌギ等のナラ類や、マテバシイ等のシイ・カシ類の木の幹に入り込む。ナラ菌に感染した木は水を吸い上げる機能が阻害され、一部または全体が枯死。近年、県内で急速に被害が拡大しているが、防ぐ方法は現状見つかっていないという。
生田緑地内で18年度に感染が確認されたのは2本。20年度には371本、21年度には1351本と被害が大きく広がった。同園整備事務所は来園者に危険が及ばないよう、園路沿いで倒木の可能性が高い木から優先的に伐採。昨年は夏から年末にかけて50本を切り倒した。
現在、ハンノキ林とホタルの里、梅園の3カ所の園路を3月末まで通行止めに。このほか、おもい出の小径は10日まで、周遊散策路は20日まで通行止めとしている。4月以降も通行止めの箇所が発生する可能性が高いといい、同事務所の安田洋信所長は「調査を進めつつ、優先的に伐採する木を決める。通行人の安全に努めたいので、ご理解いただければ」と語る。
利活用を模索
伐採した木の大半は緑地内の土に戻されるが、利活用の取り組みも始まっている。昨秋は伐採したコナラに市立川崎総合科学高校(幸区)の美術部が絵を描き展示。今月上旬には東口ビジターセンターに薪ストーブを設置し、伐採した木を使用している。生田緑地共同事業体の越智正夫さんは「炎の見える薪ストーブは珍しく、来園者にぬくもりを与えている」と意義を話す。
市みどりの保全整備課によると、市管理の公園緑地では21年度に約2600本の被害を確認。22年度も11月時点で約1500本。市は「被害状況の把握に努め、伐採など対応する」としている。
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