令和元年東日本台風で被災した「川崎市市民ミュージアム」(中原区)の移転再建について、生田緑地を開設候補地とする基本構想案を3月10日、市が公表した。従来の役割に加え、博物館と美術館の融合を進化させた新たなミュージアムに生まれ変わることを目指す。新施設の整備や事業展開の方向性を示した構想案に対し、4月17日まで市民の意見を募る。
ばら苑隣接地が候補に
等々力緑地に位置し、3年半にわたり休館中の市民ミュージアムは、取り壊すことが2021年夏に決定。移転再建に向けて検討が進められてきた。新施設の候補地は、市有地の生田緑地ばら苑隣接区域。同苑南西の障害者用駐車場がある場所で、コロナ禍は混雑緩和のための臨時駐車場として使われてきた。
候補地は被災リスクが可能な限り少ないことを最低限の条件とし、公設美術館の平均延床面積(9746平方メートル)を基準に一定の広さが確保できる立地として選定。加えて、構想案では市民やまちづくりとの接点を重視。生田緑地内の日本民家園など各施設や自然、開発計画といった周辺環境と連携し、相乗効果につなげる狙いだ。
市は開設地の決定に向け、自然環境や周辺景観、交通への影響、アクセス面の利便性について考慮の必要性を指摘。検討中の「生田緑地ビジョン」改定や「ばら苑管理運営整備方針」、小田急電鉄が手がける向ヶ丘遊園跡地利用計画との整合性も視野に、緑地周辺の関係団体や市民、計画に携わる民間事業者との意見交換を進めていく。3月下旬には生田緑地マネジメント会議向けの説明会も予定している。
民間活用を模索
今回発表した「新たなミュージアムに関する基本構想(案)」に基づき、市は具体的な事業活動や機能、学芸員のあり方、管理運営への市民参画の手法などについて検討。20年に定めた「民間活用(川崎版PPP)推進方針」に沿って導入の可能性を探る。市は「エリア全体の価値向上を視野に持続可能な生田緑地の実現に貢献し、登戸駅・向ヶ丘遊園駅を中心に魅力やにぎわいを創っていく」と展望。福田紀彦市長は「被災前に戻すのではなく、市内のあらゆる場でアート等を体験・体感できる『まちなかミュージアム』の活動を通じて、市民生活にアウトリーチする施設になる」とコメントする。
今後は23年度末に基本計画、24年に管理運営計画を策定する予定。構想案は各区役所や出張所、図書館のほか市ウェブサイトでも閲覧できる。意見提出先は市市民文化振興室で詳細はサイト。
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