川崎市都市景観形成協力者表彰を受けた学校法人カリタス学園で理事長を務める 齋藤 哲郎さん 中野島在勤 67歳
万感抱き、共に歩む
○…学園は今年で創立63年。女子中高の校長を経て、歴代5人目の理事長。愛の中で自由に大きく――包容力や温もり、調和を大切にした幼稚園の新園舎が、市の景観表彰を受けた。「学園を包み込むような園舎。小学校と中高、キャンパスのまとまりが実現した」。開放的な景色に緑地が映え、「自然との触れ合いがいい影響につながっていく」と期待を込める。
○…人生に思い悩んだ中高時代。歴史の研究者を志し東京大へ進んだ。キリスト教系のサークルで「神父様」の生き方に惹かれ、哲学・倫理に転向。しかし行き詰まり、留年や大学院中退と苦悩が続いた。院生時代に非常勤で勤めた私立中高を経て、30歳手前でカリタスへ。教師としても悩みは絶えなかったが、それまでの挫折が生きた。「子どもたちと何とか一緒に歩もうという気持ちになる。自分の経験に立ち戻れる」。見えないものに目を向け、背景を想像し、寄り添ってきた。
○…理事長に就いたばかりの2019年5月28日。事件は起きた。「とてもつらい出来事。今も影響が残る」。だが振り返れば、そこには近隣の協力、助けの手、理解があった。多くの医療関係者も駆けつけてくれた。「その後も冷静に見守って、温かい言葉をかけてくださった。感謝でいっぱい」。不幸の中に、地元の優しさ、善意を感じた。あれから4年。子どもたちに「いのちの尊厳」を伝え続ける。
○…講堂で開かれていた中野島中学校区地域教育会議のコンサートや老人ホームでの奉仕体験など、地元との関わりはコロナ禍で休止。「ぜひ再開してほしい」と望む。「もしよかったら、共に歩ませていただきたい。ここにいてくれてよかったなと思ってもらえる存在でありたい」。地域への思いを打ち明けた。
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12月20日