多摩区ソーシャルデザインセンター(多摩SDC)の高校生や大学生が中心となり、区内の子ども食堂4カ所で8月17日、「10円子ども食堂」と題し、安価な値段で子どもたちに食事を提供した。資金はクラウドファンディング(CF)で集めた。企画した八藤綾乃さん(18)は「値段を下げることで、子ども食堂に来てもらうきっかけを増やせれば」と話した。
市民活動の中間支援を担う多摩SDCは2020年3月に多摩区役所1階に開設された。さまざまな活動を行っている中で、同年7月から取り組んでいるのが多摩SDC内で行う子ども食堂だ。
そこで培ったノウハウを伝え、各地で子ども食堂の立ち上げ支援を展開。地域ボランティアも増え、多摩SDCに所属する学生らも手伝いながら運営する子ども食堂は区内で6カ所となった。
2020年度に、デイサービス喜多、デイサービス日昇、欧州食堂 城[KIZUKI]、ECO WASH CAFE 中野島店での子ども食堂が立ち上がり、21年度にゆい保育園たまがわでも始まった。子ども食堂の目的は「共働き世帯の支援」と「多世代が集まりやすい居場所作り」の2点を掲げる。
課題となるのは資金面。持続可能な子ども食堂のためにも、CFに挑戦することとなった。多摩SDCでは、今年の4月29日に稲田多摩川公園などで行われた「登戸・たまがわマルシェ」の会場に仮設トイレを設置するCFを初めて行い成功したことから、子ども食堂でも実施する運びとなった。
持続可能性高める
子どもは通常100円で食事ができるが、より安価にすることで、利用者により気軽に来てもらうきっかけを増やす狙いがある。5月9日からCFをスタートさせ、約2カ月間で目標の4万円を上回る5万4000円が集まった。その資金は全額食費に当て7月に2会場で試験的に10円子ども食堂を開いた。2会場で87人の子どもが10円で食事を行い「いつもよりもお得に食べられた」と喜ぶ親子の声が聞かれた。
8月17日は4会場に場所を増やし、84人の子どもが食堂を利用した。欧州食堂 城[KIZUKI]に親子で来場した母親の宮本香代さんは「ゆっくりと、子どもと食事ができる場があるのはありがたい」と話す。子どもの杏さん(菅小3年)も「友達と一緒に話しながら、ご飯が食べられて楽しい。カレーも美味しかった」と笑った。
ニーズは高い
多摩SDCが携わる区内6カ所の子ども食堂の利用者数は21年度が2836人、22年度が4197人と大きく増加。八藤さんは「ニーズの高まりを感じる。6カ所では受け入れきれない人数になってきている。だからこそ、新規開設の支援をしたい」と意気込んでいる。9月にも4会場で「10円」を実施する。7月から9月までの結果を踏まえ、10月以降どうしていくかを話し合うという。多摩SDCの蒲菜南さん(20)は「持続可能性を高めるために資金集めの方法をCF以外にも考え、モデルができれば」と展望を語った。今回は運営に高校生3人も参加。百合丘高校の佐野夏帆さん(18)は「笑顔が増えたと感じた。広報に力を入れ、笑顔あふれる地域の方々の居場所にしたい」と述べた。
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