川崎の伝統野菜「のらぼう菜」を菅地区で作り続け、2020年に亡くなった高橋孝次さんの思いを、「紙芝居」で後世に伝えたいと、クラウドファンディング(ウェブ上の募金活動、以下CF)で制作資金などを募るプロジェクトが行われている。
菅地区で古くから栽培されているのらぼう菜は、アブラナ科の野菜で栄養価が高く甘みがあるのが特徴。収穫が3月初旬に始まることから「川崎に春を呼ぶ野菜」と呼ばれ、親しまれてきた。
高橋さんは菅野戸呂の農家に生まれ、17歳で就農。生産だけでなく次代への継承を目的に地域の小学校を訪れ、「野菜名人」として40年にわたり出前授業を行うなど、88歳で亡くなるまで、のらぼう菜を愛し、普及に努めてきた。15年に県内で2人目の「地域特産物マイスター」に認定。20年9月には、のらぼう菜の歴史や栽培方法を記した書籍を刊行した。
今回のCFは、のらぼう菜の普及・継承を目指す市民団体「かわさきのらぼうプロジェクト」が実施。メンバーの清水まゆみさんは、食と農に関する活動をする中でのらぼう菜を知り、高橋さんに出会うと、その人柄とのらぼう菜への熱い思いに心を打たれ、学校での出前授業に何度も同行。高橋さんが子どもたちや教員と接する姿を、写真や音声で残してきた。
20年12月に高橋さんが死去した後は、遺志を受け継いだ妻の寛子さん(86)らにより、のらぼう菜の栽培は続けられている。そんな中、複数の学校から寛子さんのもとに「高橋さんののらぼう菜を育てたい」と苗の提供を望む声があることを知った清水さんは、「高橋さんの授業を紙芝居に残せないか。栽培方法や思いを後世につなぎたい」と模索。「紙しばいや もっちぃ」として、市内を中心にオリジナルの紙芝居を読み聞かせる活動を行っている望月晶子さんに協力を打診した。
書籍や音声を見聞きし高橋さんの人柄に感銘を受けた望月さんは清水さんに共鳴。2年をかけて構成を練り、試作を繰り返し、このほど望月さんが水彩で描いた16枚の紙芝居「かわさき菅ではぐくむのらぼう〜高橋孝次〜」が完成した。10月4日、完成品を寛子さんらに披露。寛子さんは「良い物を作ってくれて感謝している」と述べた。
紙芝居は50部を印刷し、のらぼう菜を栽培する小学校や市立図書館などに寄贈する予定。印刷や梱包などにかかる経費を11月30日(木)までCFで募っている。詳細は地域限定CFサイト「かわファン」内、「紙芝居で伝えたい!のらぼう菜のこと」を参照。問い合わせは清水さん【携帯電話】080・5682・1706。
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