関東大震災から100年の節目となる今年、川崎市は耐震化された市庁舎に危機管理本部を移転。市民への啓発活動にも力を入れるなど大規模災害への備えを強化している。一方、倒壊すると緊急車両の通行を防ぐ恐れのある「沿道建築物」の耐震性不足も指摘されており対応を進めていく。
市庁舎は、「防災・危機管理」をコンセプトに建て替えられた。水害の被害を受けないよう、3階と4階の間に免震層を設け、機械室は4階以上に配置。屋上には、緊急避難を想定した緊急離着陸場を設置し、執務室は落下による二次被害を防ぐため無天井とした。市長直轄の危機管理本部では、開庁前に参集訓練を実施した。
関東大震災から100年の節目にあたり、福田紀彦市長と、東大教授で市防災対策検討委員会委員長の目黒公郎氏が、災害への備えについて特別対談を行った。市はその様子を「防災の日」を前に発行した『備える。かわさき』の号外に掲載し、「川崎市ぼうさいチャンネル」でも配信。備え(自助)や支え合い(共助)が、被害拡大を防ぐポイントとなることを市民に周知した。動画は現在も視聴できる。11月17日には、子ども向けの動画配信を始めるなど、次世代への啓発活動にも取り組んでいる。
懸念は沿道建物の耐震性
防災力を強化する一方で、緊急交通路などに指定される市内32路線に接する建築物(沿道建築物)の耐震性が課題となっている。1981年5月31日以前に着工された住宅や商業ビルなどの旧耐震建築物が対象。市によると8月末時点で177棟あり、そのうち127棟が耐震性不足として報告されている。
耐震診断は義務化されているが、改修工事への強制力はない。そのため2021年に改定された市の「耐震改修促進計画」では、建物の解体や段階的な改修費用にも助成するなど支援制度を拡充し、2年間で15棟に利用された。市まちづくり局の担当者は「権利関係などで進まないことが多い。課題を検証して次の計画改定に生かしていきたい」と話している。
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