県立多摩高校の野球部員が1月28日、野球人口の拡大を図り、地域の少年野球チームを対象にした「野球交流イベント」を、同校のグラウンドで開催した。部員らが子どもたちに対して技術指導をしたり、チームをつくって試合形式で対戦したりして、野球の楽しさを分かち合った。
「子どもたちに野球の魅力を感じてもらいたい。野球のすそ野を広げたい」。日本の学童、学生野球人口が減少傾向にある中で、イベントはそんな高校生たちの思いから始まった。
学校の通年科目として「総合的な探求の時間」に取り組む野球部。部員不足で単独チームでの大会参加が危ぶまれた経験のある主将の松崎航太さん(2年)と冨永直暉さん(同)は「日本の野球人口拡大のために私たち高校生ができることは何か」をテーマに研究を進めてきた。市内での野球関連イベントの参加者や地元学童野球チームに所属している未就学児から高校生までの保護者を対象に約440件のアンケート調査をした。「野球を始めたきっかけが友人に誘われて、という回答が多かった」と冨永さん。そこで、小学生に年齢が近く、親しみを感じやすい高校生による教室で野球の楽しさを知ってもらい、輪を広げてもらおうとイベントを企画した。「野球を始めた時期」の質問で「小学校低学年」の回答が多かったため、今回は多摩区と高津区の少年野球連盟に所属する小学1、2年生を主な対象とした。
当日は午前に多摩区、午後に高津区の野球少年各約60人が集合した。鬼ごっこで体を慣らすと、「守る」「投げる」「打つ」の各ブースでは高校生が見本を見せながら児童を指導。野球を簡易化した「BTボール」やベースランニングリレーでは高校生と小学生の混成チームで対戦した。
松崎さんは、同部が『常時全笑』をスローガンに掲げ、チームの持ち味が明るさであることにふれ、「元気な子どもたちの姿を見て自分たちのチームにももっと反映させられると思った」と述べ、冨永さんは「リレーが僅差だったのでじゃんけんで決着したところ、負けたチームの子が泣いてしまった。子どもの真剣さを感じ、この気持ちに寄り添ってあげないとと思った」と振り返った。先輩と共に活動した1年生の後藤陽翔さんは「意思を引き継ぎ取り組みを続けたい。後輩にも伝えていきたい」と力を込めた。同部顧問の飯島佑監督(36)は「生徒も子どもも野球を楽しんでいた。野球を始めた原点をしっかり見つめられたのでは。今回は野球チームに所属している児童を対象にしたが、未経験の子どもにどうアプローチするかが次の目標。生徒たちと共に考え、工夫して取り組みを発展させていきたい」と評価した。
松崎さんは、「エラーなどがある中でカバーし合えるチームスポーツの中のチームスポーツ。一方で打席では投手と打者の一対一。その瞬間は2人だけにスポットライトが当たる」と野球の魅力をうれしそうに語った。
松崎さんと冨永さんは昨年12月、日本野球学会で研究発表を行った。今後も校内外で発表の場がもたれる予定。
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