川崎市は、学校給食費を2025年度から値上げする方針を示している。値上げした場合は、1食あたり小学校で50円、中学校で60円程度を見込む。
川崎市では、学校給食法などに基づき、給食の実施に必要な施設・設備などにかかる経費や人件費は市が、食材費は保護者が負担している。現在の給食費は1食あたり小学校が270円、中学校が320円。小学校では2018年に料金を改定、中学校では17年度の完全給食開始以来、これまで変更はない。
市によると、新型コロナの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻などによる近年の物価高騰の影響で、保護者から徴収する給食費では食材費が不足する状況が続いていた。22年度と23年度は国の新型コロナ対策のための臨時交付金で不足分を補った。今年度は給食の安定運営のために設置されている市の学校給食運営基金を取り崩しているが、物価高騰に歯止めがかからず、9月議会一般会計補正予算案に食材料費として約5億6千万円を計上。加えて、献立の変更や削減などの工夫により、食材費の抑制も図ってきた。
質の維持困難に
市は、今後も物価高騰が続いた場合、将来的に給食の質を維持していくことが難しく、料金改定の検討が不可欠と判断。5月の市議会文教委員会で現状を報告して今後の対応について協議に入り、8月の同委員会で値上げに向けて取り組みを進める方針を示した。
11月規則改正目指す
改定の場合、金額は前回改定後の18年4月から今年4月までの市の消費者物価指数の上昇率などから試算し、1食あたり小学校で320円、中学校で380円程度になると見込む。市は9月中に保護者アンケートを実施し、給食の感想や要望、改定に関する意見を聴取。校長会やPTA、教職員組合の代表者、学識経験者らからなる市学校給食運営連絡調整会議での検討を経て、11月中をめどに学校給食費が定められた市の規則を改正したい考えだ。市の担当者は「市議会や保護者アンケートでの意見を踏まえて検討を進めていきたい」と話している。
今年度、政令市ではさいたま市と神戸市が小学校の給食費を改定。差額分は市が負担している。
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