議会報告 地域に寄り添い、自民党が取り組んだ多摩区の地域課題 川崎市議会議員 上原まさひろ
令和6年第3回定例会は、本会議の他、決算審査特別委員会、そして各分科会での審査、10月11日に閉会した。私は決算審査特別委員会の委員長を務めたが、定例会を通して、自民党川崎市議団として取り上げた地域の課題を報告する。
■登戸の町名の議案上程・議決
区画整理事業によって住所が変わることを余儀なくされていた登戸。登戸のすべてが区画整理対象でない中、当事業が始まり30年超の中で、行政からのアクションがなかった。私は一般質問等を通じて、対象住民間、あるいは行政との対話を促してきた。この度、区画整理対象地域には「新町名」として、登戸一丁目、二丁目、三丁目が議会に提案され、議決する運びとなった。代表質問では、新町名で見えにくくなった、地域の歴史のにおいを感じさせる一層の取組を求めた。委員会審査では一部議員の中に、町名がそのままの地域がある、区画整理を進めるべき、との意見も出た。そもそも清潔で安全安心な当事業と、町名の話は別の議論であり、当初は住居表示の議論も出ていた。町名には地域の歴史や魂が宿ると考える。私は地域の声をよく聞くことを主張した。
■三沢川浸水対策待ったなし、臨時でポンプ車配置も求める
年初、大きな震災に見舞われた能登半島。今般の大雨により更なる被害を受けられたことには心よりお見舞い申し上げたい。また決して他人事ではなく、川崎市も浸水被害対策を進めることは急務である。長期的な対策として、排水管の整備が進んでいる。また菅第4公園に排水設備を検討中だが、地域の声に寄り添い、計画を熟慮されている点には感謝したい。一方で、今日明日必要な対策が進んでいない。議会では、臨時の排水ポンプ車の配備の準備を求めたが、令和7年の出水期に間に合うよう、今後も求めていく。当面は何も起きないだろう、の認識は甘すぎる。
■稲田公園の再編整備にも防災の視点を
現在稲田公園は、施設の老朽化等を踏まえて、今後再編整備される予定である。再編整備にあたっては、浸水被害のあった地域の公園であることも踏まえ、今後の気候変動も予断を許さないことから、防災機能の充実を求めた。具体的には雨水の貯留機能については、技術的には実現可能とのことだ。公園内には水路も通っている。市としては、再編整備にあたっては民間事業者の活用を検討している向きだが、防災公園となるとその運営が懸念される。また、一般質問でも地域の声を聞くよう求めたが、現時点ではその動きがない。今後、一層の議論を要する。説明文書に「サイクリストをはじめとした新たなニーズを呼び込む」とあるが、本当に大事なのは、今利用している人である。また地域のために、この公園用地を提供した近隣住民もいる。徒歩で歩いていける地区公園の目的を忘れるべきではない。
■町内会・自治会応援補助金に防災拡充を
自民党を中心として求めた、町内会・自治会向けに1世帯あたり最大700円の補助金が実現し数年が経過する。直近の実績では全市で7割の団体に交付される中、多摩区では6割に満たない。多摩区では満額申請された町会数も少なく、市全体としては世帯数の少ない町会ほど申請が少ない。防災活動に関する申請も、自主防災組織の制度と交絡している向きがある。走り始めて数年で課題も見えてきた。今後は世帯数によらず、地域の共助の助けとなる防災メニューの拡充を要すると考えられるが、一層実態把握を進めたい。
■学校施設開放に異変、電子キーの導入?
学校施設のさらなる有効活用策として、電子キーを用いて門扉開閉などを自動化し効率化を図りたいと市から説明があった。施設開放委員会でうまくいっている施設も少なくない。またこれまで施設利用料をとっていなかった昼間の校庭などでも料金徴収を行うという。もちろん、こういった取り組みが必要な施設もあることは認識するが、地域住民間で協議し寄り添い、うまく運営されている施設、そのために寄り添う努力をしてきた人もいる。
■安易な効率化は×
公園にせよ、学校施設にせよ、効率化を図ることそのものが重要なのではなく、利便性を向上し高度化し、一層地元に寄り添うことが目的であるべきだ。また一朝一夕では実現できないが、開放的で穏やかな地域関係こそが、地域を強くし、安心して暮らせる「町」といえるのではないだろうか。小さな経費節減のために地域の関係性を冷え込ませるのではなく、産業と消費を活性化させることが先決ではないか。自民党らしく、今後も歴史とその中にある住民の気持ちを重視した建設的な議論をお約束する。
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11月8日