第50回衆議院議員選挙は10月27日、投開票された。前職2人と新人2人の計4人で1議席を争った神奈川9区(多摩区、麻生区)は、立憲民主党で前職の笠浩史氏(59)が9万3878票を獲得し、8回目の当選を果たした。自民党・前職の中山展宏氏(56)、日本維新の会で新人の吉田大成氏(54)、日本共産党で新人の赤石博子氏(63)は及ばなかった。
午後7時45分頃、登戸の事務所で支援者の前に姿を現した笠氏は、「皆さんと一緒に時を待ちたい」と席に着いてテレビ画面を注視した。8時の開票速報からすぐに当選確実が報じられると、事務所内は大きな歓声と拍手に包まれた。
支援者の前に立った笠氏は、今回の衆院選について、「この12年間、自民党の一強体制が続く中で、政治とカネを巡る問題、裏金づくりなどが重なり、国民の政治不信が極まっている状況で行われた」と思いを述べた。続けて、「それだけに、立憲民主党の責任は極めて重いという自覚を持って戦った。今までと違って与野党が伯仲する緊張感のある政治を、国民の力で作り出すという、政治が大きく変わる大事な選挙戦になった」と振り返った。加えて、党国会対策委員長という立場で全国各地の候補者の応援に駆け付ける間、地元での活動を支えた地方議員、後援会や事務所関係者らに対し、感謝の言葉を伝えた。
「緊張感を持って」
今後に向けて笠氏は、「これからが本当に私たちの真価が問われる。皆さんの今の政治に対する不信、不満を受け止め、信頼を取り戻していくことができるかどうか、我々にかかっている。私も大きな勢力の国会対応の責任者を務めていくこと、その先頭に立っていくことを、今日の勝利からしっかりと胸に刻んで、より緊張感を持って次の国会に臨みたい」と引き締まった表情で抱負を述べた。
自民・中山氏は落選比例復活も叶わず
前回、比例で復活当選した自民党の中山展宏氏だったが、今回は笠氏に約4万票の差をつけられ敗戦。重複で立候補した比例代表でも及ばず、議席を失った。
登戸の事務所で午後8時頃から支援者らと共に開票結果を伝えるテレビを険しい表情で見つめていた中山氏。笠氏の当選確実が報じられると、支援者の前に立ち、感謝の言葉に続けて、厳しい結果について「私の不徳の致すところ」と肩を落とした。政治とカネに関わる問題が大きな争点となり、自民党に逆風が吹く中で選挙戦に臨み、「激励もいただいたが、ご批判もいただいた」と厳しい表情を見せた。地元を回り、支援を呼びかけた戦いを振り返り、「皆さまからのそのような意見が政治の最前線。地元の皆さまからご意見を伺えたことが何よりも幸せだった」と語り、「今回の結果を真摯に受け止め、前向きに歩いていきたい」と思いを述べた。
日本維新の会の吉田大成氏、日本共産党の赤石博子氏は共に及ばなかった。吉田氏は「現役世代の負担軽減など、若い人たちをサポートしていく訴えは響いたと感じられた」と選挙戦について振り返り、「今後も自分のできる範囲での政治活動、社会を変えていくことを続けていきたい」と語った。
赤石氏は「社会保障の拡充や早急な賃上げの政策など有権者の反応に手応えを感じた一方、男女の賃金格差などジェンダー平等の訴えを幅広く伝えきれなかった部分もある」と話し、「直接人と会って対話を重ね、政策のオリジナリティーを高めていきたい」と話した。
今回の衆院選は従来の「多摩区、麻生区、宮前区の一部(神木本町1〜5丁目)」から、「多摩区、麻生区」の新区割りとなって初めて実施された。9区全体の小選挙区の投票率は57・98%。前回2021年10月31日の衆院選旧9区の投票率に比べて、1・49ポイント減少した。多摩区は55・83%、麻生区は60・66%だった。
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