最高峰の匠として川崎市内在住・在勤の技術・技能職者を表彰する「かわさきマイスター」。市は、2024年度の新たな認定者5人を11月に発表し、麻生区から左官の橋本大輔さん(53)=麻生区はるひ野在住=が選ばれた。
かわさきマイスターは極めて優れた技術・技能で、川崎市産業の発展や市民生活の向上に尽力し、後継者や若手の指導にも熱心な現役の職人に贈られる称号だ。1997年度から事業が開始され、今年度の認定者を含め、これまでに83職種129人が選ばれている。
偶然の出合い
大学在学中に偶然アルバイトで出合ったのが左官だった。「妥協せずにより良い物を作ろうと仕事に向き合う職人の姿勢や立ち振る舞いに感銘を受けた」と橋本さんは振り返る。
卒業後は、迷うことなく左官の会社に入社。マンションや公共施設などで内外壁や床のモルタル塗りなど左官業務の経験を積み、20代後半で現場を仕切る立場に就いた。
自身の子どもが通う予定となっていたはるひ野小中学校の建設の話を聞き、左官工事に携わりたいと35歳で独立。日本古来の伝統的な技法にも関心を抱き、専門的な技術を持つ親方や職人を訪ねて、手ほどきを受けた。
そして、歴史的な建造物や寺院の修復工事にも携わるようになった橋本さん。川越市重要伝統的建造物群保全地区の安斎邸や鎌倉市国登録有形文化財のかいひん荘鎌倉洋館(旧村田家住宅洋館)、東京都台東区にある護国院の修復工事などを手掛けた。
今回の認定を受け橋本さんは「自分の学んできた日本古来の技法を使い、今後は川崎市内の歴史的建造物の修復工事などでも役に立てたらうれしい」と述べた。また、今までの歩みを振り返り、「自分の腕一本で、ここまでこられたことは感慨深い」と話し「今まで支えてくれた周りの人たちのおかげ」と感謝の言葉を口にした。
「左官業の仕事を知らない人もいる。この職業のことを知ってもらいたい。志のある若い世代に向け、経験や知識を引き継いでいきたい」と次代への思いも語った。
今年度のかわさきマイスターには、橋本さんのほか、機械設計・製作の遠藤豪人さん((有)伊藤工業)=高津区、無電解ニッケルめっき表面処理の鈴木宏さん((株)ブラザー)=川崎区、温間・冷間圧延加工の西雅也さん(リカザイ(株))=中原区、スタッド溶接の松林繁さん((有)マスト)=川崎区=が選ばれた。
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