生田地区社会福祉協議会(社協/西尾信会長)の青少年福祉部が毎年主催してきた「中学生が語る会」が、12月6日の開催で50回の節目を迎えた。中学生が学校の枠を超え、社会福祉や青少年問題をテーマに真剣に話し合う場として地域の福祉教育の推進という大きな役割を果たしてきた。
語る会は1976年にスタート。第1回は、生田中学と西生田中学の生徒14人が「中学生は何を考え行動するか」をテーマに主張を交わした。以来、地域の中学生を対象に毎年実施し、第13回からは枡形、生田、南生田の市立3中学の生徒が参加する現在の形で定着。コロナ禍のためオンラインで開催した2020年12月には、参加生徒の発案で、中学生によるメッセージ動画や横断幕、ポスターなどを医療関係者に贈るという派生的なプロジェクトも生まれ、翌年度には第2弾として介護や薬局、救急隊などにも対象を拡大。エールの輪を広げた。
放課後、どう過ごす
今年度も3校の生徒が参加。生徒会や学級委員など各校の代表生徒約40人が多摩区役所生田出張所に集まった。今回のテーマは「『放課後の居場所UP!(アップデート)』地域見守りネットワーク」。国が進める部活動改革に伴い、放課後を有意義に活用して自分自身や社会をアップデートしようというねらいのもと、生徒は各校4、5人ずつ3グループ(以下G)に分かれた。第1Gは「居場所としての学校」、第2Gは「居場所としての地域!」、第3Gは「自分を高める居場所」について議論し、大矢浩司部長ら青少年福祉部のメンバーや校長、教員、PTA関係者らもアドバイザーとして話し合いの様子を見守った。
1時間の討議を経て、生徒は各Gの意見を集約し全員の前で発表した。第1Gは4つの観点から考察。複数の部活に参加できる仕組みづくり、授業の一環で他校の生徒や地域と交流を持つなどのアイデアを出した。第2Gは雨の日でも遊べる場所やコミュニケーションが苦手な子が相談しやすい環境づくりを提唱。安全な地域にするため、街路灯の設置や遊具の確認を求める声もあがった。第3Gは、子ども食堂などでのボランティア活動を通じて人と関わりコミュニケーション能力を高める、3校合同でリーダー研修会を開く、といった意見を披露した。
第1Gでは野口透弥(とうや)さん(枡形中2年)、第2Gでは山浦暉弓(てるゆみ)さん(生田中2年)が発表の司会を務め、それぞれ「学校によって視点が違って自分の視野が広がった」「他校の人の意見が参考になった」と振り返った。第2Gで書記を担った津島光来(ここ)さん(南生田中2年)は「他の地域について知る機会になり、自分の学校の生徒にも発信したいと思った」と感想を述べた。第3Gの司会をした秋庭百花(もか)さん(南生田中2年)は「好きなことや特技を授業で発表するという学校があり、自分の学校でもやってみたいと思った」と語った。
優良活動で全国表彰
「語る会」による中学校と協働した地域での福祉教育の推進が評価され、同地区社協はこのほど、全国社協による「社会福祉協議会優良活動」に選ばれた。西尾会長は「学校が協力的に継続してきてくれたことが大きい。参加した中学生が『勉強になった』と感想を記してくれているのを見ると、地域の青少年の健全育成に貢献できていると感じる。これからもぜひ続けていきたい」と話した。また、10年以上にわたり事業を担当してきた大矢部長は「生徒たちが意見を言ってくれることが頼もしい。話し合うことで、社会に対して自分たちも何かができるんだ、という自信を生徒は持てている」と取り組みの意義を述べた。
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