意見広告・議会報告
議会報告 防災も、子育ても、勇気を持って未来を予測し、頑張る人が報われる川崎市を 川崎市議会議員(多摩区) 上原まさひろ
予算審査特別委員会では、一時避難所の防災機能強化、こども・子育ての予算配分の在り方、そして、都市計画に防災の視点が必要との論点を提示したので、以下、報告します。
【1】身近な避難所の防災設備の把握は必要
避難所まで距離や高低差があるなど、避難所へ行くまでに避難する、一時避難所の存在は重要です。一時避難所には多くの公園が指定されていますが、その中で防災設備がある公園は市内にどの程度存在するのか、危機管理監に問うたところ、地域防災計画において、地域住民等が震災から身の安全を図るため一時的に避難する場所と定義しており、防災設備については把握していない、との答弁でした。
一時避難所となる公園のうち、町内会・自治会はじめ、自主防災組織等が防災倉庫を備えている公園はどの程度存在するのかについても事前に質問しましたが、同様に把握がないとのこと。
ぜひ令和7年度には把握のための検討をお願いしました。
【2】「かまどベンチ」、「防災シェルター」も
近年の猛暑ばかりに目が行きがちですが、冬はまだ寒く、一時避難のための集合など、時間が長くかかってしまうと生命にも危険が及びかねません。そこで、一時避難所となる公園に、屋根付きの防災シェルター、いわゆる防災仕様の東屋の設置を進めることを提案、市としても避難するにあたり、一時避難所となる公園では、一時的に雨風を凌ぐことが必要な場面も想定されることから、既存の公園施設の災害時活用は有効なものとの見解が示されました。
また防災シェルターについて、平常時にベンチとして利用され、災害時にかまどとして使用できるいわゆる「かまどベンチ」など、防災機能を有する公園施設の活用についても期待され、近隣町内会等の地域の皆様から要望を伺い、運用の見込みから確認しながら、公園の新設や再整備の機会を捉えて検討していただくことを確認しました。
【3】幼稚園、保育園など施設類型ごとの負担額調査
施設類型ごとの負担額等の調査を依頼。理事者各位に協力いただき、私学助成の幼稚園、施設給付型の幼稚園、幼稚園型認定こども園、幼保連携型認定こども園、公立保育所、認可保育所の国県市のそれぞれの負担額について情報を提供してもらいました。
【4】際立つ公立保育所の負担額
今回の議会質問に向け集計していただいたもので特筆すべきは、公立保育所の市負担の大きさです。公立保育所を市で自営する意義について伺いました。市は、保育の質の維持・向上を図るため、現場での実践から培った知見やスキルを継承・改善しながら、民間保育所等への支援や公民人材育成の強化に取り組むとともに、保育所等に通っていない地域の子ども・子育て支援にも力を入れてきた、と答弁。
また近年、医療的ケア児や要支援家庭等への支援などの多様化・複雑化する保育ニーズや、新たな社会的課題等に率先して対応し、そのノウハウを民間保育所等へ波及させるためにも、引き続き公立保育所が果たす役割は重要である、との見解でした。
【5】予測される少子化傾向の中、お金をかけるべきは「ハコ」でなく「人」
市の答弁の通り市立保育所の存在意義は疑いようがありません。公的機関にしか担えない役割があり、そこに費用をかけることそのものが自治体の責務です。とはいえ、各区3園体制は必要か常に自問自答してもらいたいことは伝えました。特別なケアを必要とする人数は、実はそれほど多くはありません。先の見通しが立たない中では、いわゆる「ハコモノ」を維持するためにお金をかけることなく、人的サポートを手厚くして雇用も生み、一人一人にもっと手厚く支援ができるソフト面での強化を求めていきたいと思います。
【6】ぶれやすい川崎市の人口推計
川崎市の人口は、これまでの予測では令和7年時点で158万人に到達し、さらに160万人を超えると市は予測しています。一方で、足元数カ月では減少基調を見せています。
これまでの人口増は住宅供給がリードしてきたと考えられ、今後、登戸区画整理、鷺沼再開発なども期待されることから人口増要素も大きい局面を迎えます。川崎市は変化に富む環境で、見込んでいなかった住宅開発等が行われた場合など、推計後の開発状況や移動率等の変化により、実態との乖離が生じます。
【7】きめ細かな予測が正確な予算立案の基礎
予算立案には人口という基礎数値は大変重要です。予算を作るにあたり、今年はどれくらいの行政サービスが必要なのか、推計方法を確認しましたが、正確な仕事ぶりが見られますし、過去の推計を見ても、向こう数年は相当正確な予測ができています。
【8】前提となる勇気を評価する組織と人事が必要
推定した前提数値の変化の方向が誤った際には、これを咎めることなく、柔軟に前提数値の更改を行い、機動的に政策を進めることが必要と考えます。今回は、市の人口推計と就学前児童数の推計について触れ、市とは一部見解が分かれましたが、勇気をもって取り組む職員の皆様が、恐れず職務にあたれるよう、取り組んでいきたいと思います。
【9】防災と公園、両立は?
三沢川流域の浸水対策ですが、菅・菅稲田堤・菅城下にわたる80ヘクタールもの雨水をカバーするために、菅稲田堤3丁目ほか3カ所にポンプ施設設置が検討されています。
本稿寄稿時点では住民説明も行われていませんが、今後それも進むかと思います。施設要否も含め、市にはしっかりと向き合い、話し合いをしていただけるよう、お願いしています。公園に設置とのことで、公園を守りたい地元の有識者などにも知恵をお借りして、暫定的な設備、つまり排水ポンプ車の導入を議論しました。
排水ポンプ車での対策につきましては、全長10メートルを超え、1台あたり8基のポンプが搭載されている排水ポンプ車を現地に9台配置するとともに、ポンプ72基と、そこから三沢川へ排水する72本のホースを設置する必要があります。大丸用水の中に約140メートルにわたりポンプを設置する必要があり、また、三沢川までのホースの設置については15メートルの幅が必要となり、近隣の駐車場などを利用させていただいたとしても、排水ポンプ車での運用は困難である、との見解でした。
【10】都市計画にも防災の視点を
住民の避難経路の確保は、市の責務と考えています。また、ポンプ施設を設置した場合、安全性の向上の反面、景観や公園の削減により、周辺地価へのネガティブな効果も考えられます。
そこで、当該地域の避難経路の確保、そして地価の安定のために、都市計画道路小杉菅線の一部の整備を提案しました。被災された皆様の実態は忘れてはいけません。当時の状況を思い返し、避難困難とならぬよう、橋を架けたらどうかという提案です。
幹線道路の整備については、平成28年度から令和11年度までを計画期間とする第2次川崎市道路整備プログラムに基づき、渋滞や交通事故の状況などの客観的な指標等により、整備効果の高い箇所を選定して、効率的・効果的な道路整備の推進に取り組んでいます。
小杉菅線の三沢川との交差部付近については同プログラムに位置付けていませんが、次回の選定時期には、ぜひ防災の視点も取り入れたまちづくりを進めてもらえることを求めていきたいと思います。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
|
|
|
|
|
3月28日