登戸古民謡保存会の会長で第33回川崎市民俗芸能発表会で古民謡を披露する 大島 好男さん 麻生区在住 61歳
田植えの息遣いを唄に表現
○…「エーオーヤァーアーレ、ヤーレー…」。長く悠長な節回しが特徴の登戸古民謡「登戸田植え唄」。明治時代前期まで多摩川沿いの水田地帯では広く歌われていたという。今ではほとんど知られなくなったこの唄を40年以上に渡って守ってきた。今月13日(日)には「第33回川崎市民俗芸能発表会」(高津市民館大ホール)で「登戸田植え唄」と「焼き米つき唄」の2曲を披露する。「大衆歌の持つ素朴な温かみを感じてもらえたら嬉しい」
○…実際に田んぼで歌われていた頃は田植えや稲刈りなどの労働を隣近所が助け合って行ってきた。「大勢で話し合いながら作業していたのでしょう。今はもうない風習がこの唄には残っている」と話す。七七五調で作られた歌詞を上の句と下の句に分かれて掛け合いながら歌っていく。「本来は田植えをしながら歌うもの。その息遣いを表現するのが難しい。現代の曲と違ってとてもゆっくりだしね」
○…普段は登戸で襖や障子の張替えなどの内装業を営んでいる。古民謡は27歳の時、当時の親方に誘われて入会したのがきっかけ。「唄の型や節回しを覚えるのに苦労した。今はそれが醍醐味になった」。多い時には26人ほどいたメンバーも自らが3代目会長に就任してからは10人に絞って活動している。練習はお互いの仕事に配慮して本番直前に集中して行う。練習後はお酒を飲んで親睦を深め合う。「歌よりもお酒が楽しみというメンバーも多いんじゃない」とはにかんだ。
○…恒例となった同発表会に出演するほかに、今後は「小中学校や市民館などで依頼があれば出演していきたい」と意欲的だ。同会の唄を聴いた人々から「登戸にこんなにいい唄があったなんて知らなかった」「残していってほしい」と言われることが原動力のひとつとなっている。ひとりでも多くの人に感動を届けたいと、「今は発表会の本番が成功することだけを祈っている」。
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