昨年発表されたJR南武線中野島駅の臨時改札口設置の方針について、川崎市とJR東日本、カリタス学園の三者は今月、費用や設置期間等の基本的事項に合意した。2019年春の開設を目指し、実施設計を進めていく。
JR南武線武蔵溝ノ口駅より北にある片側改札口の5駅について、市は踏切を横断する駅利用者の安全性や利便性の向上に取り組んできた。線路の南側に改札がある中野島駅では、自由通路と橋上駅舎化整備事業を検討。事業用地取得の長期化等が予想されることから、暫定的な臨時改札の設置を昨年発表した。約1400人の生徒が踏切を横断するカリタス学園が維持管理費の負担について支援を提案し、三者で協議調整を進めてきた。
今回、設計と施工に要する費用を川崎市、電気代や監視員の人件費など維持管理に要する費用はカリタス学園が負担することで合意。開設日は平日で、通学時間に合わせた午前7時から8時30分、午後4時から7時としている(祝日、年末年始を除く)。設置期間は自由通路完了または2026年3月末のいずれか早い時点まで。川崎市はJR東日本と連携し、26年3月末までに自由通路の完成を目指すという。
臨時改札口の設置予定場所は線路北側の市有地。Suicaなど鉄道系ICカード専用の改札になる予定だ。市担当者は「現在は設計の段階。来年春の供用開始を目指すが、詳細な配置計画については今後明らかにしていく」と話す。カリタス学園法人本部事務局長の高松広明さんは「あくまでも臨時の対応。何よりも自由通路の整備を早くしてもらいたい」と強調した。
中野島では20年以上前から地域住民が橋上駅舎化を求めてきた。住民らによって03年に結成された「中野島駅をよくする会」では、同年に7千人の署名を集め市議会で趣旨採択。10年に橋上駅舎化が決まったものの整備に時間がかかることが分かると、11年には臨時改札設置の署名を集めJRと川崎市に働きかけた。同会の今野鶏三会長は「橋上駅舎化が目標だが、一歩前進しただけでも一安心。北口ができたらずいぶん違うと思う」と期待を寄せた。
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