JR登戸駅長に先月着任した 縄 浩太郎さん 横浜市在住 57歳
「ありがとう」に心揺れ
○…温泉のまち湯河原駅から、小田急線とJR南武線の乗換駅としてにぎわう登戸駅にやってきた。「鉄道として当たり前のことだが、安全で安定した輸送に力を注ぐ」。着任後すぐに、地元有志による新旧駅長の歓送迎会が開かれ、小田急登戸駅長をはじめ商店会や観光協会の役員らと親睦を深めた。「今までのように小田急登戸駅との連携はもちろん、地域の皆さんの期待に応えられるよう一緒に地元を盛り上げていきたい」。会心の笑みを見せる。
○…生まれ育ちは横浜市。「子どもの頃から旅行とか、電車で遠くに行くのが好きだった」。大学では史学科で学び、憧れだった当時の日本国有鉄道(国鉄)に入社。「鉄道のおまわりさん」にあたる鉄道公安職員に就いた。駅で2年ほど勤めた後、登用試験にパスしたが、1987年に国鉄が民営化。「鉄道か警察か、どちらかを選ばなくちゃいけなくて」。熟考の末、駅で働く道を選んだ。
○…これまで横浜支社や数多くの駅を渡り歩き、駅長として二宮、湯河原で勤務。参加者を募り、電車やバスの添乗員に従事する旅行企画のほか、文書や危機管理に携わる総務畑を歩んできた。中野、品川の駅勤務時代には、乗客の忘れ物対応で「ありがとう」の一言の嬉しさが胸に刻まれた。「電車や駅構内の忘れ物は多いけれども、お客さんにとっては大事なこと。誠心誠意、真心込めて対応すれば、記憶にも残る。大切なのは『当たり前』から一歩踏み込んだサービス」。強い信念をにじませる。
○…息子が通学するのは、偶然にも駅近くの専修大学生田キャンパス。生田緑地や藤子・F・不二雄ミュージアムも近くにある登戸駅は、国内外から多くの観光客が訪れる拠点だ。「小田急と一緒に力を合わせて、地域密着で愛される駅を目指す」。ゆくゆくは「湯河原と登戸の住民がお互い行き来できれば。それが鉄道の醍醐味」。密かな夢を胸に、一歩ずつ前に進む。
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11月22日