地域振興への一手として国が導入した「自治体ポイント」の実証実験が、市内で昨年11月から行われているが、普及が進んでいない。対象が中原区の商店会1カ所に限定され、その手続きの複雑さからポイント交換実績も17件にとどまっている。
自治体ポイントとは、国が進めるマイナンバーカード普及施策の一つで、地方自治体ごとに発行するポイント制度。利用促進のために、NTTドコモのdポイントや全日空のマイルなど協力会社14社のポイントを自治体ポイントに変換することで、各社ポイントの有効期限に関わらずマイナンバーカード一つに合算できる。
川崎市では自治体ポイントを地元商店会の集客につなげようと、昨年11月からモトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合(中原区)で使えるポイントカード「ブレカ」ポイントに変換できる実証実験を開始。今年の3月末までに、協力各社から市の自治体ポイントに変換されたのは29件4万3400ポイント。自治体ポイントからブレカポイントへは17件2万8200ポイントの変換にとどまっている。
自治体ポイント利用には、マイナンバーカード作成に加え「マイキー」というIDの作成登録が必要。証明写真撮影や申請など完了まで手続きが多い。同組合の伊藤博理事長は「ポイント変換やマイナンバーカード発行の手続きが非常に煩雑。普及には、魅力を高めるために、ポイント利用できる場所を増やす必要がある」と指摘する。
市内の全211商店会のうち、ポイント運用に必要な事務局機能を備えているのは26団体と少ない上、地元商店での本格導入には課題が多い。大型商業施設などでの運用を求める市民や関係者の声もある一方、市の担当者は「地域振興の本来の趣旨に反する」として今後の運用へ明言はせず、「今年11月に終了する予定の実験結果を踏まえて、関係機関と連携していきたい」との方針を示した。
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