市民生活や地域風土に根ざして継承されてきた文化財を新たに顕彰する「川崎市地域文化財」。第3回の選定結果が先月25日に発表され、市内で28件、多摩区内では16件が選ばれた。第1回からの総数は159件。区内では計44件で、市内最多の決定数となった。
2018年度から市が選定する地域文化財は、未指定の貴重な文化財を幅広く記録しようと市内の寺社や団体、施設などから募集。第3回は昨年4月から6月の推薦期間を経て決定した。件数は過去2回に比べ半減。市担当者は「コロナの影響で制約が大きかったが、残り1カ月で動きが出てきた」と振り返る。
区内では今回、石碑や建造物などの有形文化財14件、有形民俗文化財2件が決定。第2回までに複数の所有物が認定されていた堰稲荷神社と中野島稲荷神社からは、新たに名簿や献魂碑、鬼瓦など7件が追加された。市内北部の郷土史研究を行う稲田郷土史会は、2件を初めて推薦。「旧小泉橋の桁と親柱」「榎戸の庚申塔」が選ばれた。このほか廣福寺境内の「畑権助辞世碑」や菅小学校にある「菅村絵図」、長尾神社の石祠が文化財となった。
節目の「D51」も
第3回では、区内の市施設に関連した文化財も目立つ。建て替え工事が進む多摩区役所生田出張所は、旧生田出張所に建立されていた慰霊碑3基を推薦し、決定。日露戦争以降の出兵者の戦没慰霊碑で、現在は生田小学校下校庭に並んでいる。
かわさき宙(そら)と緑の科学館は、屋外展示物として管理する「D51形蒸気機関車」を推薦。1940年から貨物輸送等で活躍した機関車で、科学館が開館した1971年に展示を開始。今年で50年になる。定期的にペンキを塗り替えて保存され、生田緑地で長く親しまれてきた。同館職員は「身近に触れることができる文化財。科学館の50周年と合わせて、企画も考えていきたい」と語った。
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