「性同一性障害」と「発達障害」を抱えながらラジオドラマの声優に臨んだ こばやし このみさん(本名:小林 空雅) 菅在住 26歳
自分らしさ、声にのせて
○…川崎市を舞台にしたラジオドラマ「ワンダーワールド」で声優に挑戦。適応障害を発症しながらも真剣に向き合った。演じたのは「態度は大きいけどビビり、怖いからこそ横暴な態度をとる」という感情的な役。「私は感情が動かない方なので、表現が難しかった」と苦労を語る。出演する第4話は今月放送。「詰めていった演技だけど、もっとできただろうという気も」と、収録までの日々を思い返す。
○…中原区で女性として生まれ、育ちは幸区。「好奇心旺盛で、人目を気にしない子だった」。小5のとき性別に違和感を覚え、中学ではセーラー服が嫌で不登校に。当時、よく見ていたのが「ドラゴンボール」。複数役を演じる野沢雅子さんの声に魅了された。中2で性同一性障害の診断を受けると、学ランで通学。「悟空」と「雅子」から取って「空雅」に改名した。演劇やネットラジオに傾注し、二十歳で性転換。男性として声優養成所へ。今回の出演を経て、「野沢さんに会いたい」と夢を強くする。
○…今の性自認は「ゼロ」。「バイトで男性扱いされて疑問を抱いた。女でも男でもない」。そんな自身の心情の変化が描かれたドキュメンタリー映画は、昨年7月から劇場公開。年末には麻生区でも上映された。都内へのアクセスの良さから菅に住んで1年、「川崎は全区に関わりがある」と地元愛が募る。
○…うつのような症状から、発達障害の診断を受けたのは数年前。「潔い性格をしているので、納得はした」。自分なりのペースで詩やアクセサリー、ハーバリウムなどアーティスト活動も続けてきた。声優に限らず、音声編集や動画制作にも興味を広げる。「職業とか男女とか、肩書はほしくない」。一人の「人」として、らしさを貫く。
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11月8日