東三田在住のかやまあきさん(70・本名=鈴村歩)が、絵本『ゆびきりげんまん』を先月刊行した。保育園と老人ホームが併設された「幼老複合施設」を舞台に、子どもと高齢者の温かい触れ合いを描いている。
主人公は元気な5歳の園児・みほ。いつも一人で本を読んでいるおじいちゃんが気になるみほは、「シンコバ・パピコピ」という「まほうの言葉」で話しかけ、心を通わせていく――。挿絵画家のしょこら・ぺすさんによる温もりある絵が物語を彩っている。
「寄り添い」が大事
かやまさんが絵本づくりに至ったきっかけの一つが、20年以上にわたった認知症の義母の介護。介護保険がない頃の苦労や、県内の老人保健施設に通った日々、18年お世話になった宿河原の特別養護老人ホームでの看取り。「特養のケアはとてもよく、認知症で言葉が強くなっていた義母も穏やかになった」と振り返る。
カリタス学園(中野島)に30年勤め、事務長として教育に携わってきたことも幼老複合施設への思いにつながる。2016年秋、社会人枠で桜美林大学大学院の老年学研究科に入学。複合施設5カ所にインタビューをし、施設運営の観点から世代間交流を継続させる要因について分析した。少子高齢化や核家族化が進む今、「教育も介護も、『寄り添い』が大事」とかやまさん。「昔は近所のおじいちゃんおばあちゃんに学ぶことができた。高齢者も子どもから元気をもらえる。相乗効果に目を付けて絵本を作った」と語る。
同書は書店やインターネットで購入可。シニア読み聞かせボランティア「りぷりんと・かわさき」の講座を受けた経験もあるかやまさんは、市立図書館や特養への寄贈も検討している。「読み聞かせや高齢の方の音読のリハビリとしても読んでもらえたら」と思いを込めた。
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