川崎市は空き家の解体促進に向けて、事業者らによる解体一括見積りサービスをウェブサイト上で提供する実証実験を、3月20日から開始した。増加傾向にある空き家の適切な管理や市民への情報提供を目的としており、今後の施策の検討に役立てたい考えだ。
実証実験を行うのは、市が民間提案制度により2月に協定を結んだ一般社団法人あんしん解体業者認定協会(東京都)、(株)クラッソーネ(愛知県)、バリュークリエーション(株)(東京都)の3事業者。各事業者は、専用のウェブページで解体費用のシミュレーションや、解体工事に関する見積りから契約など、一括見積りサービスを提供。利用者は解体にかかる概算費用や土地の売却査定価格などが無料で簡単に把握できる。
市では、実証実験の期間中、各業者の専用ページを市や川崎市住宅供給公社のウェブサイトで紹介するほか、窓口などでもリーフレット等で周知する。市の担当者は「解体しないとと思いつつ、先延ばしになっている方も一定数いる。まずは不安解消や、解体へのきっかけづくりになれば」と話している。
実証実験は概ね2年間。市はウェブサイトの利用状況を把握し、事業者の対応なども確認しながら、今後の空き家解体促進に向けた施策の検討を進めていく。
所有者の高齢化も
総務省が5年ごとに行っている住宅・土地統計調査によると、2018年時点の川崎市の住宅総数は77万7800戸。このうち共同住宅の空室なども含む空き家は7万3800戸で、別荘などの二次的住宅、賃貸・売却用の住宅を除く、管理や活用のされていない一戸建ての空き家は5200戸ある。多摩区では790戸あり、一戸建ての空き家全体の59・4%にのぼる。
市が所有者に対して行ったアンケートでは、18・3%が「維持管理を行っていない」と回答。65歳以上の所有者が6割以上と高齢化が進んでいるほか、川崎市外の居住者も4割以上にのぼるとみられ、適切な維持管理が難しくなることが予測される。また、空き家の解消もみられるものの、建物に著しい破損がみられるなど、管理、活用がされていない空き家は増加傾向にある。
こうした状況を踏まえ、市では第2期川崎市空家等対策計画を22年から26年の5年間を計画期間として策定。今回の実証実験も対策の一つ。市の担当者は「所有者が元気なうちに、流通や解体を促進していきたい」と話している。
多摩区・麻生区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|