道路交通法の改正により、4月1日から自転車を利用する全ての人に対し、ヘルメットの着用が「努力義務」となった。県内全域と比較して川崎市は自転車事故が多く多摩区も例外ではない。多摩警察署では、「自転車利用のルールを守って、安全に運転してもらいたい」と呼びかけている。
これまでは、13歳未満の児童や幼児の保護者に対し、子どもが自転車に乗る際にヘルメットを着用させるという努力義務が課せられていた。今回の法改正でその対象が全ての自転車利用者へ拡大した。罰則規定はない。
同署の加藤宏司交通課長によると、多摩署管内で昨年1年間に発生した自転車が絡む交通事故は122件。全交通事故発生件数の32・7%を占めている。川崎市は全体で33・4%と、県内平均の25・6%と比べて自転車事故が多い傾向にあり、市内8署の中では多摩署の構成率は5番目に位置するものの、やはり割合は大きい。今年1月から3月末まででは36件の自転車事故が発生。交通事故全体の32・4%に及び依然として県平均の23・6%よりも高い状況だ。加藤課長は「多摩区は起伏が少なく自転車利用者が多い。幅の狭い道が多いのも原因として考えられる」とし、「事故による致死率が、ヘルメット非着用は着用の約2・1倍という統計もある。ルールを守って安全に運転を」と呼びかける。
自分守るため着用を
「自転車で転倒した時、地面に落ちるのは決まって頭から」と話すのは西生田で自転車店「サイクランドヤマダ」を経営する山田美佐男さん。「事故に遭ったお客さんから、転んだ際にかぶっていたヘルメットが割れたという話をよく聞く。かぶっていなかったらと思うとぞっとする」とし、「自分自身の身を守るため、着用したほうが良い」と注意を促す。
一方で、「努力義務化が報道されたことでヘルメットが品薄になり、お客さんに勧めたくても商品が入ってこない」という目下の課題も。「売れ筋の5、6千円から1万円ぐらいの商品がない。毎日4、5件は来店や問い合わせの電話があるが対応できていない状況」と悲鳴をあげる。問い合わせは年配の方が多いという。また、山田さんが所属する自転車業者の組合では、「通勤で駅まで自転車で行き、電車に乗る時にヘルメットをどうすればいいのか」という意見もあがったそう。山田さんは、「普及には時間がかかるかもしれないが、徐々に着用が浸透すれば」と話す。
啓発活動で呼びかけ
市は5月の「九都県市一斉自転車マナーアップ強化月間」に合わせて啓発活動を実施する。多摩区でも学校や幼稚園、保育園、管理事務所のある駐輪場への啓発チラシの配布などを通じ交通安全の意識向上を図る。ヘルメット着用努力義務の周知も重点項目の一つとする考えだ。
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