神奈川県民ホールで8月10日に開かれた第72回県吹奏楽コンクール(県吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)中学生の部B部門で、稲田中学校吹奏楽部が金賞を受賞した。同部は県代表として、9月16日(土)に横須賀市で行われる第29回東関東吹奏楽コンクールに出場する。
2、3年生の部員数が30人以内の学校が参加するB部門。県コンクールには県内の33校が出場した。29人で参加した稲田中はスミス作曲の「海の男たちの歌」を演奏し、市内の西生田中(麻生区)や金程中(同)、東高津中(高津区)と共に、金賞13校の中の1校に選ばれた。さらに、県代表として上部大会である東関東コンクールへと駒を進めた。
音程・音色・音量
同部は3年15人、2年10人、1年15人の40人で活動。平日放課後と土曜日午前中に練習に励む。顧問は4月に同校に着任した瀬戸口由貴教諭(31)と丸山胤幸教諭(60)。学生時代に吹奏楽部でトランペットを吹いていた瀬戸口教諭が金管と打楽器を、指導経験豊かでサックス奏者でもある丸山教諭が木管と全体演奏を主として、分業制で合奏を教えている。部長でチューバを担当する金山遥日さん(3年)は、「音程・音色・音量。先生からは、演奏の中でこの3つを必ず大切にするよう言われている」と話す。
2016年から4年続けてA部門で銀賞を受賞するなど県大会にもたびたび名を連ねていた同部だが、ここ数年は支部大会(川崎市)の壁を突破できない年が続いた。そんな中で今年度の支部大会前に金山さんが掲げた部の目標は「東関東大会で金賞をとる」。「3年生は吹奏楽が大好きな『音楽ばか』しかいない。だから、できるという思いがあった。みんなで乗り越えたい」と金山さんが微笑むと、副部長でアルトサックス担当の柴田千夏さん(3年)も、「みんな自分の楽器を愛している。1、2年生もとてもやる気がある」と続ける。
言葉通り一丸となって支部大会を突破した同部は、県大会でも躍進。東関東大会への切符までも手にした。「部員全員の今までの努力が認められた」と金山さん。柴田さんは「県大会の舞台に初めて立って緊張したけれど金賞で名前が呼ばれてうれしかった」と振り返る。「3年生はコンクールへの思いも強かった。一生懸命、指導に向き合ってくれた」と瀬戸口教諭。「東関東は行きたいと思って行かれる舞台ではない。県代表として演奏ができる喜びを感じながらステージを楽しんでほしい」と大舞台に立つ部員にエールを送る。
目標まで「あと一歩」
着任して初めて同部の演奏を聴いた瀬戸口教諭と丸山教諭は顔を見合わせたという。「水準が高かった」と丸山教諭。コンクールに臨むための曲は部員の「結果を出したい」という思いに応え、「長く吹奏楽に携わってきた自分の経験と指導スタイルに合い、かつ物語性があってなじみやすい曲。この子たちのレベルならいけると思った」と丸山教諭が提案した。
高い目標もあり、練習には厳しさも伴った。金山さんは「目標が高すぎたかなと落ち込むこともあった。自分もうまく音を合わせられず足を引っ張り悩んだ」と明かす。柴田さんは「県大会前、うまくできない自分に悔しくて泣いた」。楽器を吹きすぎて部員がくちびるを痛め練習が中断することも。それでも努力を重ね、目標に手が届くところまでたどり着いた。
東関東大会は9月16日に行われ、神奈川・茨城・千葉・栃木県の35団体が出場する。「楽しく笑顔で。チャレンジャーなのでやれることを精一杯やって結果が付いてきたら」と丸山教諭。金山さんは、「ここまでくることができたのはみんなの努力以外の何物でもない。自信を持って金賞をとりたい」と意気込み、柴田さんは「東関東大会金賞という目標まであと一歩。本番まで充実した練習ができるよう、日々集中していきたい」と抱負を述べた。
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