能登半島地震で被災した故郷を元気づけようと、石川県七尾市出身で、登戸のレストランバー「アルファクロス登戸店」従業員の森敦郎さん(30)=枡形在住=が、同店内で募金活動を行っている。森さんは「今は物資や人が必要とされているが、今後はお金が必要になってくる。故郷の復興に少しでも役に立つことができれば」と話す。
森さんは専修大学への入学を機に18歳で上京。登戸周辺で一人暮らしをし、客として訪れた同店でオーナーの井野大輔さん(52)に声をかけられアルバイトを始めた。10年以上経ち、今では調理やドリンク作り、ホールサービスと全ての業務に従事する。周辺の店舗にも知人が多く「登戸から向ヶ丘遊園まで歩くと誰かしらに会う」というほど地域になじんでいる。
森さんの実家は江戸末期に創業し七尾市で170年以上続く老舗呉服店だ。7代目にあたる森さんは昨年11月頃、数年ぶりに帰省。30歳の節目を迎え家業を継ぐ決意を両親に伝えていたという。
能登半島地震が起きたのは森さんが七尾市から多摩区へ戻った矢先だった。今ある呉服店は森さんが中学生の時に移転し、店舗兼住宅となっている。地震被害は大きくはなく、発災後10日ほどで営業を再開した。その一方、旧店舗で森さんの生家でもあり、現在は90歳の祖母が住む建物は大きな被害を受け、暮らせる状態ではなくなった。「心配で地震の翌日に帰郷を考えたが交通機関は止まり、迎えに来てもらうわけにもいかない。帰るのは正しい選択ではない」と思いとどまった森さんだったが、心のもやもやは拭えなかった。
自分にできることで
3日に後輩と下北沢の飲食店へ行くと、店主が過去に熊本地震のチャリティーイベントを開催したという話を聞いた。森さんは「自分にできることで地元に貢献しよう」と、自身が働く店に募金箱を置くことを思いつき仕事始めの6日に設置。近隣数店舗にも協力を呼びかけた。
森さんの故郷を案じてくれた顧客らの協力もあり、1月末時点で12万円超が集まった。寄せられた義援金は、被災地の状況を見ながら2月下旬に森さんが直接現地へ届ける予定。使い道は両親と相談して決めるという。「石川県には輪島塗や輪島の朝市、能登上布、和倉温泉、七尾の青柏祭など、伝統があり、魅力的なものがたくさんある。早く復興して元の魅力ある石川に戻るよう支援していきたい」と森さん。オーナーの井野さんは「お客さんをはじめ、気持ちのある方々にかなり協力していただいている。被災地の早期復興のため、一つのお力添えになれば」と話している。
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