菅地区で川崎の伝統野菜「のらぼう菜」を作り続け、2020年に88歳で亡くなった故・高橋孝次さんの思いをまとめた紙芝居を児童に披露する取り組みが2月20日、菅小学校(戸塚裕康校長)で行われた。のらぼう菜の栽培に取り組む2年生児童約110人が鑑賞した。
菅野戸呂の農家に生まれた高橋さんは、17歳で就農してのらぼう菜の生産に心血を注いだ。その一方で、「野菜名人」として地域の小学校を訪れ40年以上にわたり出前授業を行うなど、のらぼう菜の歴史や栽培方法の継承にも努めてきた。
紙芝居はのらぼう菜の普及継承を目指す市民団体「かわさきのらぼうプロジェクト」の清水まゆみさんが高橋さんの思いを後世に残そうと、「紙しばいや もっちぃ」として市内を中心に活動している紙芝居師の望月晶子さんと協働で手がけた。生前、高橋さんが行った授業の音声や写真を基に約2年の構想や試作を経て、昨年10月頃に完成。印刷梱包費などをクラウドファンディングで募り、制作した50部を市内の図書館やのらぼう菜の栽培を行っている小学校に順次、寄贈している。
小学校を巡回
寄贈に合わせ、1月31日の下布田小を皮切りに各校を巡る「お披露目会」も実施。2月20日は6校目で、高橋さんの母校である菅小を訪れた。
「3年前に天国へ旅立った高橋さんが紙芝居になってみんなに会いに来てくれました」と清水さんが児童に語りかけると、望月さんが紙芝居をめくりながら「のらぼうは冬に育ち、寒さに耐えれば耐えるほど甘みが増しておいしくなります」「川崎に春を告げる野菜なのです」と、まるで高橋さんが話しているようにのらぼう菜の魅力や育て方を解説。高橋さん独自の栽培技術で、地際近くを刈り取ることで収量と品質を向上させる「深(ふか)摘(てき)心(しん)」の説明もした。最後に、「今日からは皆さんでこの先100年、200年とのらぼうを将来へ残していってください。のらぼうは、ここ多摩区の伝統野菜です」と故人の言葉を紡いだ。
児童から栽培について質問があがると清水さんは「のらぼう菜は強くて失敗しても育つので、水をあげるのを忘れずに、大きくなれよと声をかけてあげて」と呼びかけ、児童は「がんばって育てます」と答えた。
この日は高橋さんの妹の下内厚子さん(75)が夫の義光さん(80)と共に招かれ紙芝居を鑑賞。厚子さんは「今までものらぼう菜を栽培をしてきたが勉強になった」と話し、義光さんは「(紙芝居は)よくできていた。孝次さんがそっくりだった」と微笑んだ。
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