多摩区菅北浦在住の橋本喜代次さん(76)がこのほど、ファンタジー小説『アンネ・フランクの奇跡』(東京図書出版)を発行した。
橋本さんは長年、公立中学校の教員を務めてきた。演劇部の顧問として子ども向けの劇の脚本を書いた経験もある。橋本さんは「『アンネの日記』をしっかりと読んだのは50代。悩み苦しみながら必死に紡ぎ出す言葉の深さと迫力に圧倒された」と振り返る。また、同時期に不登校の生徒が通う学級に勤務していた。
『アンネ・フランクの奇跡』は、不登校の中学生・遥香が『アンネの日記』に出合う。その後、閉じこもる狭い部屋に、アンネ・フランクたちが突如現れる。次第に、深い友情が芽生え、遥香の閉ざされた心が動き出していく――。そんなファンタジー小説だ。児童文学ファンタジー大賞奨励賞受賞作でもある。「『アンネの日記』にも興味を持ってもらい、平和の大切さを考えてもらいたい。不登校の生徒のことを理解するきっかけにもなれば。楽しみながら、読んでほしい」と橋本さんは思いを語った。
橋本さんは65歳のとき脳梗塞で倒れ、右手足に障害が残った。リハビリの中、初めて小説を書き始めた。「新しいことをまだまだできることがあると喜びを感じた。書き終えたとき、充実感がとても大きかった」と笑顔を見せる。
本は、四六判172頁、定価1300円。アマゾンや一般書店などで注文・購入できる。
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