川崎市は8月2日、来年1月から路線バスによる自動運転の実証実験を行うプロジェクトを発表した。大師橋駅(川崎区)から天空橋駅(東京都大田区)を結ぶルートなど2路線で、都道府県をまたぐ走行路の実証実験は初。市では、2027年度中の実装と、自動運転技術の活用や企業との連携、バスの運転手不足対策として「川崎モデル」の構築に意欲を見せる。
今回、市が発表した路線バスによる自動運転の実証実験は、特定地域でシステムが周辺環境を認識し、ドライバー不在で走行する「レベル4」の27年度中の実装に向けて行われるもの。事業主体は市、運行事業者は川崎鶴見臨港バス(株)が担い、9社が関係事業者として参画する。25年1月13日頃からテスト走行、1月27日頃から10日間、実証運行を行う予定だ。
ルートは大師橋駅から多摩川スカイブリッジを通って天空橋駅まで(片道4・4Km)、川崎駅前から市立川崎病院まで(片道1・3Km)の2つ。前者のルートは、異なる自治体、警察が所管するエリアで初の自動運転の実証実験になる。
最新型のEV車両で、走行中は搭載されている高精度3次元地図情報とセンサー技術に加え、信号情報を連携。最高時速35Kmでの運行を予定する。今年度の実証実験期間中は運転手が乗車し、走行中にハンドル操作や加減速操作をシステムで行うレベル2で運行。乗客は15人まで。乗車賃は無料を予定。今年度得たデータを生かし、来年度中に警察らからレベル4での運行許認可を取得し、実証実験を行い、27年度中の実装を目指す。
運転手不足対策に
今回の実験の背景には、バスの運転手不足が挙げられる。運転手不足などによって、市内の路線バスが18年から1日あたり2000便減少しており、その対策の一つとして期待を寄せる。加えて、自動運転技術を活用し、さまざまな企業と連携することで地域課題の解決や、自動運転を生かしたまちづくりを目指す「川崎モデル」を構築し、他地域への展開も視野に入れる。
8月2日に行われた記者会見で福田紀彦市長は「運転手不足、地域交通の存続は喫緊の課題。都市部でレベル4の実装を行うことで、全国展開への道しるべになりたい」と意欲を見せている。
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