特殊詐欺被害を防ごうと麻生警察署は、啓発のための塗り絵を初めて配布する。作成に桐光学園(麻生区)美術部漫画研究班の生徒が協力した。1〜2千部が巡回連絡や地域包括支援センターなどで順次配られる予定。
管内で例年より特殊詐欺被害が増加していることを受け、新たな啓発方法を模索していた同署。文字情報以外に芸術的な側面を取り入れることで、より感覚的に意識してほしいと、初めて塗り絵の作成を決定した。担当者は「高齢者の方は在宅時間も長い。楽しみながら気付きを得てほしい」と期待を寄せる。
一方、同部の漫画研究班は全国の高校生を対象に開催される「まんが甲子園」に何度も出場している強豪校。このほど同署からのオファーを受け協力することになった。
「絵で役に立ちたい」
色を塗りやすいよう、普段のイラストより輪郭を太くするなど工夫を凝らしながら、部員11人が1作品ずつ制作。増加している詐欺の手法などを調べ、おのおのが関心を抱いた題材を図案化したという。部員は「被害に遭うのは、自分たちの祖父母と同じ立場の方たち。やりがいを感じた」と真剣な表情を見せた。
10月16日には同署で原画の贈呈式を実施。部長の山崎桃花さん(高校1年)は「これ以上、高齢者の方が被害に遭わないよう自分たちの塗り絵が役に立てば」と思いを語り、玉置敏也署長へイラストを手渡した。玉置署長は「高齢者がお孫さんたちと一緒に楽しめる機会にもつながる」と感謝を述べた。
塗り絵は順次1〜2千部が、巡回連絡や地域包括支援センターなど高齢者向け施設への配架などで配られる。民間企業の協力により、宅配弁当の配達時に手渡されるケースもあるという。
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