川崎市市民ミュージアム 安井賞の田中作品ズラリ 明日は展示解説イベント
川崎市市民ミュージアム(中原区等々力1の2)では、画壇の芥川賞とも言われる安井賞の第1回目の受賞者で、市内在住の洋画家、田中岑(たかし)氏(91)の作品展「田中岑91層の色彩」を開催中。色の三原色(赤・黄・青)をテーマに油彩画やブロンズ像、絵本、書籍など多彩な作品が並び、田中氏の作家活動の集大成として注目を浴びている。
田中氏は、香川県生まれ。10代から油彩画を学び始め、18歳で東京美術学校油画科入学、その後日本大学芸術学科に転入し、師として仰ぐ海老原喜之助氏や朝井閑右衛門氏に出会う。36歳で新人画家の登竜門で画壇の芥川賞と呼ばれた安井賞の第1回目の受賞者となった。油彩画の他にも、雑誌の編集や書籍装丁、絵本制作、神奈川県立近代美術館の壁画制作なども手がけた。45歳の時には同氏の個展を見たアメリカの映画監督コーネル・ワイルド氏に映画「ビーチレッド戦記」のタイトルバックを任されたこともあり、幅広い分野で活躍。91歳になった今も創作を続けている。田中氏は「アーティストは工人でなければならない」と芸術家を士農工商の工(職人)と表現し「良い師に出会いコツコツと努力を重ねることが芸術の可能性を広げる」と経験を振り返る。
作品展では「通常美術館は絵や映画など選定するが、今回は企画した職員がアトリエから色々なものをもっていき展示している」と田中氏が話すように多ジャンルの作品が並ぶ。今回の展示を企画した学芸員の喜安嶺さんによれば、「個展でこれだけの作品が揃うのは珍しいと思う」と話す。また田中作品の魅力を「先生の絵は濁らないのが特徴。光のような透明感と明瞭な構図で見る人をひきつける」と話している。
作品展は29日まで開かれており、明日21日午後3時からは田中氏と学芸員が展示解説を行うイベントが企画されている。
川崎の美術をクローズアップ
今回の「田中岑91層の色彩」は、「シリーズ・川崎の美術」の一環。市民ミュージアムでは川崎市にゆかりあるアーティストの作品展である同シリーズを昨年7月よりスタートしている。学芸員は「今後も多くの地元芸術家を紹介していくので是非地域の方々に見に来て欲しい」と話している。
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11月22日
11月15日