今からおよそ130年前、下小田中にある安楽寺の当時の住職・宗澤文山によって開設された川崎市初の私立中学校「時習学校」。その功績を改めて振り返る企画展があす8月4日(土)から、川崎市市民ミュージアムで開催される。
「時習学校」とは、安楽寺の第29代当主・宗澤文山によって明治18年に開かれた私立中学校。当時の義務教育だった尋常小学校を卒業した15歳から25歳までの男女が通う中等教育機関で、現在の高校レベルの学問を教えていた。卒業生に岡本太郎の母・岡本かの子の兄で東京帝国大学(現東京大学)を卒業した大貫雪之助や大正15年に中原町長を務め、丸子橋架橋に尽力した安藤安らがいる。
企画展では、昭和18年の廃校までに在籍した1388人の学籍名簿を展示。さらに5冊分の名簿をデータ化し、学籍簿順のほか下小田中、井田など、地域ごとに閲覧できるようにした。このほかにも、当時使用していた教科書や天神机、文山が毎日つけていた日誌(安楽寺所蔵)を中心に展示している。文山は曹洞宗専門学校(現駒沢大学)などで学んだ自身の経験を元に、生徒に漢学や歴史学、数学、英語を指導しており、読み書きそろばんなどの寺子屋的な内容への理解をさらに深めるだけでなく、英語や数学などの西洋近代的な学問も取り入れた。展示された教科書のめくられたページから、その難易度の高さが伺える。
文山の孫にあたる現住職・宗澤文良さんは「(時習学校は)教育史で欠かせない存在だが、今となっては知る人は少ない。地域とお寺の在り方を改めて感じた。取り上げてもらえて嬉しい」と話していた。
企画展は9月17日(月)まで。月曜休館。問い合わせは同館【電話】044・754・4500。
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