小杉陣屋町の中原街道沿いに、明治時代の面影を今に残す旧原家住宅の表門。1911年(明治44年)の建造物で、表門の中には稲荷社も現存している。いずれも今年7月、国から有形文化財(建造物)への登録の答申を受け、登録されれば川崎市内で4件目となる。
その表門の奥には、洗練されたデザインマンションが佇み、時代が調和した景観を生み出している。「歴史を継承した街づくりを」――。そんな理念で地域を活性化させようと取り組んでいるのが原家12代目で、(株)原マネージメント代表の原正人さん(62)。その試みの一つが、マンションの外壁に設けたギャラリーだ。地域住民らに中原街道や多摩川の歴史などを学んでもらおうと一般開放。さらに今年発見したという1931年(昭和6年)当時の小杉の古地図を展示し、現在との位置関係などを伝えている。原さんは「かつて小杉の中心は小杉十字路交差点付近で、ロンドン・パリと称されていた。今の武蔵小杉駅周辺は田畑が広がっていて、駅はなかった。そんな歴史を知らない方も多いのでは」と話す。
再び人が集う場所へ―
母屋を解体したのは1988年(昭和63年)。その後、日本民家園(多摩区)に移築、家具や資料も収蔵されている。正人さんの父・正巳さんら代々県議会議員を務めるなど大地主であったため、「多くの人が集う家だった」という原家。それを再現するかのように、9月15日の小杉神社例大祭では神酒所として賑わいをみせた。新住民や外国人も訪れている小杉周辺。「この地の正しい歴史や文化、人の営みを次世代に引き継いでいきたい」
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