10月12日に関東を襲い多くの被害をもたらした台風19号は、区内にもその爪痕を残した(15日起稿)。
区内の上丸子山王町や宮内1丁目などでは、多摩川の増水や下水路の排水能力を上回る雨量が原因で引き起こる「内水氾濫」という現象が発生したとみられ、道路が冠水。多くの周辺住宅で床上浸水などの被害が発生した。区内では浸水被害約720件が報告された(13日午後5時半時点)。泥水は、南武沿線道路にも流れ出し、JR武蔵小杉駅近くまで迫った。また、宮内1丁目周辺でも精密機器を扱う工場や高齢障害者の介護施設、住宅などが浸水。とどろきアリーナのメインアリーナのフロアも水が浸った。市民ミュージアムでは、屋外駐車場から地下部分に雨水が流れ込み、一部施設が水没。収蔵庫が地下にあるため、排水完了後に内部調査を行うという。
市は台風が迫る12日午前10時に災害警戒本部を設置。避難勧告を発令し、区内では小学校など30カ所に避難所が開設され、ピーク時にはおよそ8830人が身を寄せた。午後3時ごろに小学校へ避難した上丸子山王町に住む立原和行さんは「自宅周辺の情報は近隣マンション上階に住む人からもらっていた。12日午後10時頃には家の前は冠水していたようだった」とその時の状況を語った。
台風一過の翌13日には、周辺住民のほか区職員やボランティアらが集まり、重機やスコップを用い、泥水を書き出す作業に追われた。作業にあたった50代の男性は「粘りのある泥水が道路を覆っていて、かなりの作業。数日かかると思う」と疲弊した様子だった。
宮内の社会福祉法人セイワが運営する介護施設「みやうち」では、利用者を3階以上に避難させ一夜をやり過ごした。翌日からの泥水の片づけなどは、職員だけでなく周辺町内会員らが協力して作業に当たっていた。
区民祭は中止
15日現在、台風による影響は区内の至るところで発生。20日に予定されていた区民祭は中止に。多摩川河川敷にある野球場など全ての運動施設や駐車場は当面の間、使用停止。下沼部小学校前を通過し小杉駅前へ向かう市バスのルートは南武沿線道路へと迂回運行を行う。武蔵小杉のタワーマンションでは地下電源の停電や断水、エレベーター故障などの被害が報告されている棟もある。
市は今後の対応について、市営住宅76戸を一時避難の受け入れ先として開放。また、床上浸水の被害に対し見舞金を贈呈する(2人以上の世帯に1万円、単身世帯に5千円)。区の危機管理室は、詳しい被害状況や原因については「現在調査中」としている。
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