市政報告vol.53 疑義多き人権全般条例〜附帯決議案つけ成立 川崎市議会議員 末永 直
自民党会派の代表質問(質問者・原典之議員)が12月4日行われ、「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の制定についても質問しました。1案件で27問(市長26問)という異例の質問時間を割きました。
1、罰則規定
本条例案で賛否両論あるのは主として罰則規定についてです。所謂ヘイトスピーチ罰則の対象が「本邦外出身者」のみで日本国民たる市民は対象外で、不公平との声が多数寄せられています。
国のヘイトスピーチ解消法は附帯決議で「本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤り」とし、市長は「趣旨を尊重」と答弁しました。
さらに、仮に日本国民たる市民がヘイトスピーチの対象になった場合、罰則を含め条例改正の検討をするか訊ねたところ、市長は「一般論として(中略)、見直しをすることは必要。同様の考え方で、その対応を検討する」と答弁しました。
再質問答弁で市長は「国において法令の制定・改廃がなされた場合には、本市における対応について検討したい」として、実質条例改正の意向はなし。遺憾です。
2、継続審査要求
拡大解釈のおそれについて、市長は「解釈指針を定めるなど適切な運用に努める」と答弁しました。「解釈指針」の内容が明らかでないこと、実効性が不十分であること等、その他多くの疑義があることから、自民党会派は12月6日の文教委員会で、採決を来年以降の定例会に延ばす「継続審査」を主張しましたが、他会派の反対により涙を呑みました。
3、附帯決議案の提示
次策として「附帯決議案」を示しました。文教委員会の委員は(委員長を除く)、自民4、公明1、みらい3、共産2、チーム無所属1。過半数6を獲らなければなりません。自民党会派による原案は他会派が難色を示したため12月9日に持越され、9日に条例案は全会一致で可決。附帯決議案修正案も可決(共産反対)されました。政治は妥協の産物とは言われますが、数は力なりというところでしょうか。
附帯決議案(―はカット「」は加筆)
1 本市における本邦外出身者に対する不当な差別的言動の状況、本条例の目的や施策の内容等について広く市民に周知徹底を図り、市民の理解の下、本条例を円滑に施行していくよう努める事。
2 本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであるとの基本的認識の下、本邦外出身者のみならず、日本国民たる市民「以外の市民」に対しても不当な差別的言動が認められる場合には、本条例の罰則の改正も含め、必要な施策及び措置を講ずる「検討する」こと。
3 前項に掲げるもののほか、不当な差別のない人権尊重のまちづくりを一層推進するため、本市における不当な差別の実態の把握に努め、その解消に向けて必要な施策及び措置を講ずること。
4、本会議採決で可決
12月12日、本会議で採決、異例の代表討論を行い(質問者・末永直)、本条例案は可決されました。賛成するにあたって、あらゆる差別は許されないとの趣旨を否定するものではない為、やむなく賛成致しました。今後、条例の適切な運用がなされるよう議会として努めて参ります。
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11月22日
11月15日