川崎市立聾学校(上小田中)で、区内11カ所目となる「地域の寺子屋」が開講した。特別支援学校として市内初。耳に不自由がある児童が参加するため、学習支援は手話を使える人が担う。今後、体験活動などを通じ、聞こえる子どもたちとも触れ合う場を目指す。
同校図書室で開講した寺子屋「デフ☆キッズ ポッケ」。運営するのは、川崎でろう者の仲間づくりを支援する市民団体「このゆびとまれ!ポッケ」を中心とした実行委員会だ。同校OBや地域のろう団体、手話サークルのメンバーなど、手話を使える人が「寺子屋先生」となり児童の学びをサポートする。実行委員長の原康夫さんは、自身も聴覚に障害がある。「聞こえない・聞こえにくい先輩は、子どもたちのロールモデルとして欠かせない存在。手話でのコミュニケーションを大事に、子どもたちが主体的に参加できる場づくりをしたい」と原さん。
初回の7月8日には、1年生から5年生までの10人が参加。名札を手作りし自己紹介をした後、童話「うさぎとかめ」の読み聞かせを手話を使って行った。うさぎ役とかめ役をその場で児童から募ったところ、元気よく立候補するなど、初回から活気ある場となった。
デフ☆キッズ ポッケでは今後、聴導犬と触れ合うなどの体験活動を、聞こえる子も含めた地域の子どもたちにも開放し、お互いを知り合う環境づくりを目指す。
同校の稲葉武校長は「学校とは違う方々と触れ合うことで人間関係の幅が広がる。子どもたちにとっていい経験になるはず」と話す。
地域の寺子屋とは、NPOや市民団体が市の委託を受け、子どもの学習や体験の場を提供し、支える同事業。区内ではこれまで、小中学校10校で開設されている。
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