芸術の新しい側面を切り出そうと、川崎市岡本太郎美術館(多摩区枡形)などが主催する「岡本太郎現代芸術賞」(TARO賞)。第24回の受賞者が2月に発表され、最高賞「岡本太郎賞」に大阪府の高校生・大西茅布さん(18)が史上最年少で選ばれた。
レクイエム(鎮魂)とコロナウイルスを組み合わせた造語「レクイコロス」という作品名で、5メートル四方の空間に大小50枚以上の油絵を凝縮。コロナの悲惨さを題材に、騒ぐ預言者や軍事会議の様子などをストーリー仕立てで一枚ずつ描いた。大きな賞で最上位は初という大西さんは「こういうふうに自由にやれるのは初めて。自信になった」と会心の表情を見せた。
地元川崎から 小林さんが「敏子賞」
太郎賞に次ぐ「岡本敏子賞」には、高津区久地に工房を構える芸術家・モリソン小林さん(51)が選出された。前回は、額縁一つに金属などで作った植物を納めた作品を初めて応募し、落選。今回、「break on through」と題し、ヤマドリゼンマイやササユリなどが「枠」を突き抜け壁や床をつたい、大地に根を伸ばして自然と共生する姿を空間いっぱいに表現した。
商業施設や店舗で金属植物のアートを制作する小林さん。「一番好きなアーティストの近くへ」と、独立して2001年に工房を開き、岡本太郎美術館に通い詰めた。かつて敏子さんのいた空間で仕事をしたこともあり、「20年以上かかって夢が叶った」と受賞を喜んだ。
今回は初のオンライン受付で、応募616点のうち24点が入選した。入選作品は4月11日まで同館で展示中。
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