川崎市は5月27日、川崎フロンターレの本拠地・等々力陸上競技場を球技専用スタジアムにし、補助競技場を第2種の陸上競技場に改修する骨子案を公表した。競技場の分離を求める市陸上競技協会(市陸協)の意見を市が重視したことが背景にある。
市陸協によると、同競技場での陸上競技大会の開催はJリーグなどとの競合で日程調整に毎年苦労をしているという。2019年度の土日の利用はフロンターレと市サッカー協会で45%を占めた。これに対し、皆川敏明市陸協理事長は「川崎の子どもたちに関東大会や県大会といった全国につながる場を提供したくてもできない」と現状を説明。昨年6月に競技場の分離を要望していた。
市が示した「等々力緑地再編整備実施計画改定骨子案」によると、球技専用スタジアムは、サッカーやラグビーの利用を想定。既存の陸上トラックを廃止し、サイドバックスタンドを増設。収容人数は3万5千人規模となる。骨子案が示されたことを受け、フロンターレ関係者の一人は「観客席の増設でチケットが入手しづらかった面も緩和されると思われる」と期待感をにじませた。また、選手がプレーするピッチとスタンドの距離が近くなることで「より迫力のある選手のプレーを見ることができ、選手も、サポーターと一体感をもって戦うことができる」とも語る。
一方、陸上競技は補助グラウンドにメインスタンドやサイドバックスタンドを開設。5千人以上の観客席が必要な第2種公認の陸上競技場を整備する。これにより、陸上の日本選手権や国際大会は開かれなくなる。
整備費用について、市は市民や企業に寄付を募る。「ふるさと納税」の活用も選択肢の一つとしている。市は6月1日からパブリックコメント(市民意見公募)を実施。8月に意見を取りまとめ、11月の改定案で改修時期や費用を示す。
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