県立川崎工科高校の学生らが県内の竹林で間伐した竹を活用し、「竹あかり」の製作を進めている。管理不足の竹林は林全体の光合成を阻むなど環境問題の一因とされており、竹の利活用は近年注目される脱炭素にも通じる取り組み。7月22日には作品を展示する。
竹は成長が早く、間引きが不可欠。だが近年、手入れが行き届かず、光合成が活発な他の樹木の成長を妨げるなど「竹害」が問題視されている。そこで同校の学生らは、放置竹林を解消し、脱炭素を後押しするために竹の利活用に着目。3年生の課題研究として、竹に穴を開け、ろうそくやLEDで内側から照らす竹あかりの製作を始めた。
メンバーは、環境科学を専攻する学生11人と、合同で取り組む写真部の1年生2人。学生らは今年4月、横浜市の竹林で約50本を間伐。油抜きをして節ごとに切断した後、表面を削ったり、下絵に沿ってドリルで穴を開けるなどして一つひとつ製作している。写真部部長も務める3年生の米田さんは、「地道な作業だが、継続することでできることが増えた。思考力も養われ、社会でも役立たちそう」と話す。
学生らを牽引するのは、昨年同校に赴任した藤島謙太朗教諭(30)。「座学で脱炭素や環境問題を学ぶだけでなく、工業高校としてものづくりを通して地域の環境課題を解決したい」と話す。
作品は東京五輪の開会式前夜に、湘南ベルマーレひらつかビーチパーク(平塚市)に展示予定。開会前に心を一つにしようと、全国の竹あかりグループが開催するプロジェクト「みんなの想火」に参加する形。同校は50個展示する。
地域交流の機会に
今後は、竹あかりを300個作り、同時に製作を進めている竹とんぼやアクセサリーとともに、10月末の同校文化祭で販売する予定。写真部が撮影した製作風景なども展示する。
藤島教諭は「ワークショップも開き、地域交流のきっかけにしたい。今後は川崎市内の竹も使っていければ」と展望を話した。
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