市立井田病院の医師で、コミュニティカフェでコロナワクチン相談会を行う 西 智弘さん 井田在住 41歳
「地域の力」で心もケア
○…「コロナワクチンに対する不安や疑問を受け止める対話の場が少ない。医療者と話す機会を増やしたい」と、先月から西加瀬でワクチン相談会を始めた。不確かな情報を不安に思う相談者に、医師として科学的根拠がある正しい情報を伝えている。「相談事の中には誤解もある。医療現場や保健所ではゆっくり話せる時間は少ない。少しでも手伝えれば」
○…活動の元になっているのは、33歳から始めた街の健康相談。当時、緩和ケア医としてがん患者と向き合う中で「患者が抱える痛みや苦しみは病院内では一部しか解決できない」と、地域の貸しスペースを自腹で借り、同僚の看護師と2人でスタート。診察室では話せない仕事や金銭など生活上の悩み、患者の家族・友人からの相談を受けるうち、医療だけでなく行政や税務などの専門家を含めた「地域の力」が必要だと痛感した。
○…北海道出身。子どもの頃は「道理が通らないことが嫌い」で、授業中に私語をやめない同級生を注意したことも。小学生で医師を志し、漫画「Dr.コトー診療所」に憧れて家庭医研修に取り組んだ。緩和ケアの技術に出合い「ちゃんと学びたい」と、在宅ケアまで総合的に取り組む井田病院へ。現在では、がんや緩和ケアに関する書籍も数多く執筆している。
○…最近の息抜きは写真。一眼レフを片手に通勤途中に撮影を楽しむ。自身を「分析好き」と称し、人の話を順序立てて整理する癖も相談会で役に立っている。再発を繰り返していたがん患者が「病気の自分を支えてくれる人が、たくさんいることが分かった。もうがんは怖くない」と話したのが忘れられない。周囲の支えが患者の力になることを実感した。「病気になっても”怖くない”と思える地域にしたい」
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12月13日